「軽いたばこ」は肺腺がん増加になっている

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今注目の肺腺がんとはどのような病気か

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人気歌舞伎俳優の中村獅童さんが、初期の肺腺がんであることを書面で公表しました。ただ、「奇跡と言われるほどの早期発見」ですぐに手術にとりかかれば完治できる模様です。定期的に受けている人間ドックで判明したものなので、やはり定期検診は重要ですね。

 

ところで肺腺がんとはどのような病気なのでしょうか。肺腺がんは、肺がんの60%程度を占めていると言われており、最も一般的な肺がんです。日本においても最も発生頻度が高いものです。

 

組織のタイプによる分類では、「非小細胞肺がん」にわけられています。肺の奥のほうにある細い気管支や肺胞がある肺野部と呼ばれる場所にできるので、「末梢型(肺野)肺がん」ともいわれます。

 

肺がんといえば喫煙による影響が強いとされますが、末梢型肺がんの場合、本人の喫煙が発症の直接的な原因ではないと考えられています。これは、受動喫煙により間接的に煙を吸い込むと肺の奥まで吸い込めるため、非喫煙者ほど気管支から奥の方に出来やすいことが原因の一つとして考えられます。

 

軽いたばこによる肺腺がんが増加

一方で、「軽いたばこ」が実はここ数十年で肺腺がんが増加している要因になっていたと、米大学の研究グループが2017年5月22日付の医学誌に掲載した論文で明らかにしました。

 

軽い(マイルドな)たばことは、フィルター近くの部分に多くの小さな針穴が開けられており、その穴からフィルターの内部へ周囲の空気が入っていくために、穴のないたばこよりも煙が薄められるとされています。

 

英医学誌「ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート(JNCI)」に掲載された論文の中で研究グループは、たばこのフィルターに穴を空けることで「喫煙者がより多くの煙を吸い込み、その中には高いレベルの発がん性物質や突然変異誘発物質、他の有毒物質が含まれている」と指摘しており、肺腺がん患者の増加の原因として挙げています。

 

論文の筆頭著者、オハイオ州立大学総合がんセンターのピーター・シールズ(Peter Shields)副センター長は、「フィルターの穴でたばこの燃え方が変わり、より多くの発がん性物質を生み出す。そして肺腺がんが多く発生する肺の奥の方まで煙が到達する」と述べています。

 

軽いたばこの場合、健康への被害が少ないと思ってつい本数を多く吸ってしまったり、外気が混ざって薄まるので、根本まで吸って有害物質を多く取り込んでしまいがちになります。深呼吸のように深く吸い込むことで、肺の奥にまで有害物質が届き、発がんリスクがさらに高まる危険性があります。

 

今回の発表で、「軽いたばこは、実際はより多くの害を及ぼす」と指摘していますが、軽いたばこが重いたばこよりも健康に良いとは限らないというこれまでの研究結果を裏付けるかたちとなりました。

 

低タール・低ニコチンを売りにしたタバコは多く販売されていますが、そのからくりには注意する必要があります。

 

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