パーキンソン病のヤール重症度分類

パーキンソン病の重症度分類について

パーキンソン病の症状の進行度は、患者さんによってさまざまです。非常にゆっくりと進んでいく場合もあれば、すぐに進行してしまう人もいます。

 

ただし、病気の進むスピードは違っても、どのような経過をたどっていくのかはおおよそ決まっています。
症状の程度や治療の成果を見るための指標に「ホーン・ヤールの重症度分類(ヤールの重症度分類)」というものがあります。

 

ヤールの重症度分類は、パーキンソン病の進行度をあらわす分類としてよく使われており、症状がごく軽いステージTから、全面的に介助が必要なステージXまで分かれています。

 

また、似たような分類に「生活機能障害度」があります。これは、自分でどのくらいまで生活できるかを示したもので、進行度に応じてT度からV度まであります。

 

ヤール重症度T、U(生活機能障害度T)

 

ヤール重症度Tでは、症状は片方の手足のみの状態で、障害もごく軽く、日常生活にはあまり不自由しません。

 

ヤール重症度Uになると、症状は体の両側にあらわれます。ただし、バランスの障害(姿勢反射障害)はなく、介助がなくても自力で歩行できます。素早い動作はできなくなります。

 

ヤール重症度V、W(生活機能障害度U)

 

ヤール重症度V以上と認定されれば、「難病」のひとつとして医療費が公費から援助されます。

 

ヤール重症度Vでは、姿勢反射障害の兆候がみられるようになり、立ち上がるときや体の向きを変えるときに不安定になります。ふるえ、こわばり、無動・寡動、姿勢反射障害のパーキンソン病の4大症状が多くみられます。

 

ヤール重症度Wでは、症状が進行して機能障害は高度になります。起立や歩行はかろうじてできますが、日常生活には介助が必要となります。

 

ヤール重症度X(生活機能障害度V)

 

この段階までくると、介助がない限りは、寝たきり、車いすの生活を余儀なくされる状態です。自力で立ったり歩いたりすることはできなくなります。

 

小声でぼそぼそしゃべる、どもりがちになる、早口になる、などの言語障害も進みます。呼吸器感染症(肺炎など)、尿路感染症(膀胱炎、腎盂炎など)の合併症も起こりやすくなります。

 

また、寝たきりの状態になると、床ずれが起こりやすくなります。布団やマットとの間に皮膚が挟まれて血液の流れが悪くなり、その部分の皮膚が壊死状態になります。

 

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