パーキンソン病の診断基準(現・厚生労働省)

パーキンソン病の診断の目安

パーキンソン病には、パーキンソン病の4大症状のページで紹介しているような特徴的な症状があるため、専門の医師がみれば診断ができます。

 

しかし、症状が軽かったり、はっきりとしない場合には、なかなか診断がつかずにほかの病気と紛らわしい場合もあります。

 

この点に関して、1995年に厚生省(現・厚生労働省)の特定疾患神経変性疾患調査研究班が作った「パーキンソン病診断基準」というものがあります。診断の際の目安にすることができます。

 

パーキンソン病診断基準

 

T 自覚症状 1.安静時にふるえがある(四肢またはあごに目立つ)

2.動作が遅く、ひとつの動作に時間がかかる
3.歩行がのろく、うまく歩けない

U 神経所見 1.毎秒4〜6回ほどのゆっくりしたふるえが、安静時に起こる

2.無動・寡動:仮面様顔貌、低く単調な話し声、動作の緩慢、姿勢をうまく変えることができない
3.歯車現象を伴う、こわばり(筋固縮)がある
4.姿勢・歩行障害:前傾姿勢、歩行時に手を振らない、歩き出すと止まらない(突進現象)、小刻み歩行、立ち直り反射障害

V 臨床検査所見 1.一般的な検査には特異的な異常がない

2.脳の画像検査(CT、MRI)では、明らかな異常がない

W 鑑別診断 1.血管障害性の病気ではないことが証明されている

2.薬剤性の病気ではないことが証明されている
3.その他の変性疾患ではないことが証明されている

 

【診断の判定】
次の1〜5のすべてを満たすものをパーキンソン病と診断する。

 

1.経過は進行性である。
2.自覚症状で、上記のいずれか1つ以上がみられる。
3.神経所見で、上記のいずれか1つ以上がみられる。
4.抗パーキンソン病薬による治療で、自覚症状や神経所見の明らかな改善がみられる。
5.鑑別診断で、上記のいずれの病気でもないことが証明されている。

 

【参考事項】
診断上、次の事項が参考となる。
1.パーキンソン病では神経症候に左右差を認めることが多い。
2.部反射の著しい亢進、バビンスキー徴候陽性、初期からの高度の痴呆、急激な発症はパーキンソン病らしくない所見である。
3.画像所見で、著明な脳室拡大、著明な大脳萎縮、著明な脳幹萎縮、広範な白質病変などはパーキンソン病に否定的な所見である。

 

診断的投薬で判断が可能

 

診断的投薬で症状が明らかに改善された場合は、ほぼパーキンソン病と診断することができます。

 

薬の効果が現れる期間は、およそ1〜2週間です。ふるえがなくなったか、歩行状態が改善できたか、などが判断の目安となります。

 

もしも、1ヵ月ほど経っても薬の効果が現れない場合は、パーキンソン病の可能性はないと考えられます。
症候性パーキンソニズム(パーキンソン症候群)では、別の薬による治療が行われます。

 

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