食道がん治療後によくみられる後遺症
治療後には体に様々な影響が出る
手術や放射線化学療法などの治療後には、さまざまな後遺症が発生することがあります。
手術のあとは、食道を切除したことによる影響で、周辺の肺、気管、血管、リンパ節、神経などへダメージが発生します。すると、呼吸器系の症状や消化器系の症状、周辺臓器のトラブルによる症状などがよくみられます。
胸の痛みがしばらく続く場合があったり、食欲不振やうまく飲み込めないことによる体重の減少などもみられるようになります。およそ半数の人は、満腹になりやすいという後遺症もあります。
また、放射線化学療法でも、味覚異常や倦怠感などの症状があらわれて、治療後もしばらく続くことが多いようです。
このような後遺症が発生したら、すぐに医師に相談して、適切な対応をとってもらうようにしましょう。治療後の生活の質を高めるためのポイントとなります。
食道切除による後遺症
出血
傷口の止血が十分でない場合に起こり、手術の当日や翌日に出血しやすくなります。出血が止まらない場合は、再び開腹することがあります。
食道狭窄(きょうさく)
新しく再建した食道のつなぎ目がうまく着かずに、通り道が狭くなってしまう症状です。対処法には、手術を行ったり、食道内にバルーンを入れて広げる方法などがあります。
縫合不全
手術の縫い目がほころびてしまうもので、手術して数日後に気づくことがあります。食道や胃の内容物が腹腔に広がって、腹膜炎などの原因となります。再び開腹して縫合して治します。
嚥下(えんげ)障害
食べ物がほとんど飲み込めなくなる障害のことです。再建した食道がうまく機能しなかったり、手術で神経が傷つくことによって起こります。食事の工夫で対応していきます。
胃切除による後遺症
食欲不振
胃を切除して小さくなると、すぐに満腹を感じて食べる量が減ってしまいます。また、不快な症状があらわれて、食欲も低下します。
イレウス
手術後しばらく経過すると、腸閉塞を起こすことがあり、吐き気、腹痛、嘔吐などの症状があらわれます。腸にチューブを入れて治療していきます。
ダンピング症候群
胃に食べ物をためておけなくなり、食後30分以内には、腹痛、嘔吐、悪心、下痢などの症状が起こります。食後2〜3時間には、動悸やめまい、冷や汗などの症状が起こります。
放射線や抗がん剤治療による後遺症
肺炎
放射線や抗がん剤の副作用で、白血球が減少することにより起こります。
味覚障害
放射線をのどに当てた影響で、食道に粘膜炎が起こったり、口の渇きや味覚異常を感じることがあります。
口内炎
抗がん剤の副作用で、口内炎ができることがあります。痛みだけでなく、栄養不良の原因になる場合もあります。食事の工夫や薬を服用して対応していきます。
その他の症状
治療後数週間は、疲れやすく、全身倦怠感などの症状が残ります。また、数年後に胸に水がたまったり、肺線維症になることもあります。
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