肝動脈塞栓療法

MENU

スポンサード リンク

肝動脈塞栓療法とは?

肝臓がんは、肝動脈から栄養を摂取することで増殖しています。そのため、栄養源となっている血管を塞いでしまえば、がん細胞を壊死させることができるのです。そうすると、「血管を塞いで肝臓は大丈夫なのか?」という疑問が出てくるかと思いますが、心配はいりません。肝臓への栄養供給のほとんどは、門脈という場所からおこなわれているので、肝動脈を塞いでも大丈夫なのです。

 

○治療の流れ

 

局所麻酔をする→足の付け根からカテーテル(先端に薬剤をつけた細い管)を肝動脈まで挿入→造影剤を注入して血管の位置を確認→塞栓物質であるリピオドール、ゼラチンスポンジを注入して肝動脈を塞ぐ→カテーテルを抜く→効果を確認して場合により再治療

 

がんはおよそ1ヶ月で壊死することになります。体内に注入された薬剤は、約4週間で自然に血管から吸収され、やがて体外に排出されるようになっています。

 

ただし、肝臓への血流量が減るために、胸痛、腹痛、出血などの障害が起こります。数日間は発熱も心配されるので、症状が気になる場合は受診するようにしましょう。血流が戻るのは、約3ヵ月後のことになります。

 

スポンサード リンク

良い点と悪い点は?

肝動脈塞栓療法の良い点と悪い点をまとめています。

 

○良い点

 

・正常な細胞への悪影響が少ない
・肝臓全体に多発したがんを治療できる
・他の治療法と併用できる

 

○悪い点

 

・治療効果はそれほど高くなく、がんの再発が多い
・早期がんには効果がない
・カテーテルを何度も使用することで動脈が傷つく

 

肝動脈塞栓療法は、複数のがんが肝臓全体に広がっている場合に有効です。大きながんにも有効ですが、小さながんには効果が期待できません。また、がんの位置によっても治療できない場合があります。しかし、ほとんどのタイプのがんに適応できるので、他の治療法の補助的な役割としても強力な効果を発揮しています。

 

一度の手術でがんを除去できるわけではないので、数回再治療をすることになります。このときに、カテーテルの挿入で肝動脈が傷つくので、何度も施行はできません。

肝動脈塞栓療法関連エントリー

肝臓がんのラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法
ラジオ波焼灼療法は、がんのある部分だけを加熱することができる効率のよい治療法です。回復も早いため、最近では治療例も多くなってきています。
エタノール注入療法
エタノール注入療法は病変部を局所的に治療する方法です。広い範囲のがん細胞を攻撃することができます。
凍結療法と免疫療法
肝臓がんの治療法は日々進歩していますが、なかでも凍結療法と免疫療法が最新の治療法として期待されています。
抗がん剤による化学療法
抗がん剤を使った化学療法は、他の治療が困難な場合によく適応されます。ただ、副作用も多少出てくることになります。
肝臓がんの疼痛(とうつう)治療
肝臓がんが進行すると、体に何らかの痛みがあらわれてきます。その痛みを薬を使って和らげるのが疼痛治療になります。