腎移植手術についてのQ&A
Q.腎移植手術の危険はどれくらい?
A.現在のわが国の腎移植手術そのものはほぼ完成されているため、危険性はかなり低くなっていると考えられています。
腎臓移植手術では、患者に全身麻酔をかけていき、下腹部を20センチほど切開したあと、ドナーの腎臓を定着しやすい骨盤付近に移植していきます。
患者自身の腎臓は、通常はそのまま残します。ただし、がん化するおそれがある場合には、腎臓を摘出することもあります。
腎移植後は、生体腎移植の場合は、手術の直後から排尿することができます。献腎移植の場合、心停止後に移植されているため、尿の排出までに約2週間ほどかかることがあります。この間は人工透析によって補います。
Q.腎移植の費用はどれくらいかかる?
A.腎移植の費用については、だいたいですが約350〜450万円ほどになります。ただし、人工透析や腎移植の治療・手術には健康保険が適用されます。
また、腎臓を提供した人の手術料・医療費には、移植を受ける人の健康保険が適用されます。
以下の表に他の臓器移植の場合の費用の目安についても掲載しています。
臓器移植 | 費用 | 保険適用の有無 |
---|---|---|
腎臓移植 | 350万〜450万円 | 健康保険が適用される |
心臓移植 | 270万〜570万円 | 健康保険が適用される |
肝臓移植 | 800万円:国内での脳死体からの肝臓移植、950万円:国内での生体部分肝移植 | 脳死体からの移植の場合、健康保険が適用される。生体部分肝移植の場合、対象となる疾患であれば適用される。 |
Q.拒絶反応は大丈夫なの?
A.移植後にみられる拒絶反応にも、以下の3つがあります。
- 超急性拒絶反応(移植後24時間以内に発生)
- 急性拒絶反応(3ヶ月以内に発生)
- 慢性拒絶反応(3ヶ月以後に発生)
現在では、手術前に検査を行うようになっており、超急性拒絶反応の頻度は減っています。拒絶反応を抑制するためには、免疫抑制薬を服用し続けなければなりません。
免疫抑制薬を飲むことによる感染症にかかるリスクについては、予防法が確立されているので心配する必要はありません。
Q.腎移植後、どれくらいで退院できるか?
A.腎臓移植手術が終わっても、感染症を防ぐために免疫抑制薬を投与することになるため、しばらくは個室で管理されます。感染症の症状が出ないことが確認されれば、約10日間で一般病室に移されます。
その後は経過が順調であれば、約2〜3週間ほどで退院することができます。
Q.退院後の生活についての注意は?
A.退院後は、定期的に外来に通院して、腎臓の機能が働いているのかを調べます。血液検査を受けて、免疫抑制薬の投薬量などを調整します。
合併症を起こしていなければ、学校や職場にも復帰できるようになります。復帰の時期、外出や運動、セックスなどについては、主治医と相談して決めるようにしましょう。
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