慢性腎臓病(CKD)とはどのような病気なのか

新たな国民病「慢性腎臓病(CKD)」記事一覧

数年前には聞きませんでしたが、最近になって「慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)」という病名をみかけるようになりました。慢性腎臓病は、2002年にアメリカの腎臓財団が提唱した新しい概念です。日本でも、2006年に「日本慢性腎臓病対策協議会」が設立されており、本格的にCKD対策に取り組むようになりました。このようになった理由は、世界中で人工透析や腎移植を必要とする末期腎...

慢性腎臓病と診断するための重要な要素には、たんぱく尿と糸球体濾過量(GFR)があります。このうち糸球体濾過量(GFR)というのは、腎臓のすべての糸球体が一定時間内にどれだけの血液を濾過するかを調べた数値です。2008年3月に日本腎臓学会は、GFRの推算式を修正しました。GFRが60ml/分/1.73u以下であれば、慢性腎臓病(CKD)と診断されます。【慢性腎臓病(CKD)のステージ】表のように、慢...

慢性腎臓病の症状については気になるところですが、残念ながら自覚症状があまり現れないのが特徴です。慢性腎臓病のステージ1や2でも自覚症状はほとんどありません。そのため、病気の発見が遅れがちになってしまいます。発見できた頃には腎機能の低下が進行していることが多いです。会社の健康診断などで偶然に腎機能障害が見つかって気づくパターンがよくあります。急に体調が悪くなって、病院で血液検査をしてもらったら、腎臓...

慢性腎臓病の検査は、ほかの腎臓病と同じように「尿検査」と「血液検査」が中心となります。早期発見のためにはこれらの検査が欠かせません。尿検査尿検査には4つの採尿法があります。病院でその都度尿を採る「随時尿」、起床直後の尿を採る「早朝尿」、排尿しはじめの3分の2と残りの尿を別々に採る「分杯尿」、一定期間の尿をためて調べる「蓄尿」があります。そして、尿検査で重要となるのが「たんぱく尿」と「血尿」です。た...

慢性腎臓病を治療しないで放っておくと、じょじょにステージが進んで、さらなる腎機能の低下をまねきます。慢性腎臓病の治療には、大きくわけて2つの目標が掲げられます。まず1つ目は、QOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)を損なう末期腎不全を防ぐことです。ステージ4まではまだ腎機能が残っていますが、ステージ5に至ってしまうと、腎機能はほぼ失われてしまいます。回復する見込みはなくなるので、透析療法もしく...

現代の人々はとにかく生活習慣が乱れがちです。改善すべき点は以下のようなものがあげられます。肥満飲酒運動不足ストレス喫煙このなかでもとくに、喫煙は慢性腎臓病の危険因子とみなされています。慢性腎臓病のステージ1から5までのすべての段階で、禁煙が推奨されています。次に注意すべき点が肥満です。肥満しているほど末期腎不全に至る危険が大きいことが分かっています。肥満かどうかを測る指標のひとつにBMIというもの...

慢性腎臓病の治療にはさまざまな薬が使われますが、原因となっている高血圧を改善するために「降圧薬」という薬を使っていきます。慢性腎臓病の患者に降圧薬を使う目的は、慢性腎臓病の進行を遅らせて、末期腎不全になるのを防ぐことです。また、慢性腎臓病の進行が抑制されることによって、心血管疾患の発症も防ぐことになります。慢性腎臓病における降圧の目安は、130/80mmHg未満となります。たんぱく尿が多い患者は、...