人工透析の費用、生存率、合併症など

人工透析記事一覧

人工透析(じんこうとうせき)とは、腎臓の機能を人工的に代替する医療行為です。以前は腎不全に陥った患者は、命を落とす危険のある尿毒症にかかっていましたが、人工透析を受ければ生活を送れるようになりました。現在、腎不全のために透析治療を受けている患者数は、全国に28万人以上いるといわれています。さらに、毎年1万人前後の人が新たに人工透析を受けているという状況です。10年以上透析治療を続けている人は、全透...

血液透析は、体内にたまった老廃物を、1回に4〜5時間かけて人工腎臓で除去し、血液をきれいにする方法です。寝ている患者の腕の動脈側と静脈側に針を刺し、チューブを通して血液を体外に取り出して、ダイアライザーと呼ばれる透析器に送って血液を浄化します。そして、きれいになった血液を静脈に戻します。ダイアライザーは、直径0.2ミリほどの半透膜でできた中空糸を約1万本束ねたもので、周囲には透析液が流れています。...

全身的な合併症全身的な合併症には次のようなものがあります。不整脈労作時の息切れ、動悸、頻脈心陰影の拡大心電図上の異常これらはシャントする血液量に相当する心拍出量の増加から起こります。増加が心拍出量の10%以内に収まっているときはあまり問題ありませんが、それ以上になると、上記のような合併症があらわれるようになります。とくに貧血の強い患者は、症状があらわれるのも早くなります。このような患者には、血流量...

腹膜透析とは、患者自身のおなかの腹膜を透析膜として使う方法です。腹膜は胃や腸などの臓器を覆っている薄い膜で、表面は無数の毛細血管が分布しています。腹膜透析では、CAPD(持続携帯式腹膜透析)という方法が一般的です。CAPDを行うには、まず手術でおなかに穴をあけて直径5mmほどのカテーテル(チューブ)を設置します。そして、腹部に入れたカテーテルから透析液を注入して、一定時間後に腹膜で濾過された老廃物...

これまで慢性腎不全患者の血液浄化法として用いられてきたCAPDですが、現在では在宅透析の手段として確立されるようになりました。CAPDが優れた透析法であるのは、以下のような特性があるためです。透析を行いながら活動を行うことができる。透析後に不快な症状が出にくい。水、ナトリウム、カリウム、リン、血圧の管理がしやすい。高齢者に適している。小児腎不全の患者にも適している。透析を受けるための時間的拘束が少...

CAPDによる治療効果を最大限に上げるためには、適切な患者選択が重要となってきます。そのためには、腎不全の原因とそれに伴う合併症、ほかに患者が抱えている身体の異常や心理面など、さまざまな事項から判断していかなければなりません。いくらCAPDが優れているといっても、他に障害をかかえていたり、患者や家族の反対があるような場合はのぞましくありません。以下に患者選択のめやすを紹介しています。1.CAPDが...

CAPDに直接関連した合併症には、以下のようなものがあります。このうち、腹膜炎、出口部感染、皮下トンネル感染については、患者さん本人が気づくことが診断につながります。腹膜炎出口部感染皮下トンネル感染カテーテル機能不全腹膜機能不全胸水貯留感染に関しては、緑膿菌や薬剤耐性菌などにより治療が困難となる場合があります。感染巣の進展度も考慮していきます。CAPD腹膜炎の特徴と対処法腹膜炎の診断は容易で、症状...

透析治療を行う場合、飲水として無害な水道水でも、無処理で透析液に用いると、有害な効果が発生する場合があります。副作用や合併症を予防するためには、どのような症状があるのかを把握しておきましょう。溶血亢進(貧血助長)水道水の消毒剤として使われているクロラミン・クロリン、硝酸、銅イオンなどによる貧血があるとの報告があります。硬水症候群マグネシウムやカルシウム濃度の高い水道水を未処理のまま用いると、神経症...

人工透析を受けるようになって寿命が増え、何十年も生活を続けている人も増えてきました。しかし、透析療法を行っても、失った腎機能を完全に補うことはできません。血液透析や腹膜透析が体の負担となって、さまざまな病気を合併しやすくなってしまいます。ここでは、透析患者が知っておきたい合併症や感染症を紹介しています。正しい知識を得てその予防に努めましょう。不均衡症候群血液透析による代表的な合併症が不均衡症候群で...

在宅血液透析について日本でもっとも古い在宅血液透析は、1961年に北海道で、家庭用洗濯機を改造した透析液タンクと手作りのダイアライザーを用いた治療がはじめといわれています。在宅血液透析ならば通院する必要がなく、自分の予定に合わせて透析が可能となります。4,5時間もの長い間、病院に縛られることがなくなります。ただし、病院のように監視装置が付いているわけではなく、医療従事者が治療中にいないため、何かト...

透析に入った人が、それまでの生活といちばん大きく変わるのは、「水分管理をしなくてはならない」ということでしょう。以前は多少の食べ過ぎや飲み過ぎでも身体は大丈夫だったかもしれませんが、腎臓の機能が低下して透析を受けるようになると、腎臓の働きがどんなに偉大だったのかが確認できます。なぜ水分を抜く必要があるのか、水が多いとなぜいけないのか、という疑問についてですが、まず水が体内に多くたまると、血管の中に...

食事が人生の最大の楽しみという人も多いのではないでしょうか。どんなに仕事がつらくても、家に帰ってお風呂に入ったあと、おいしいご飯を食べるのが至福というのもいいですね。しかし、ある日から透析が必要になって、「塩分コントロールをしなければ命が危ない」と医者に言われたらどうしましょう。長年慣れ親しんできた自分の味覚を急に変えるのは難しいものです。とくにお酒のつまみになる食べ物には、塩分を多く含んでいる塩...

腎不全の患者は、腎臓が機能しなくなるので、さまざまな機能障害に悩まされます。そこで人工透析で老廃物を除去するとともに、元気で生きていられるように体の管理に努めなければなりません。透析者は毎月、病院から体の状態を表す検査データをもらいます。病院からも簡単な説明がありますが、専門家ではないとなかなか情報を読み取ることができません。ここでは透析者がとくにおさえておきたい8つの数値項目、1.尿素窒素、2....

毎日3食しっかり食べている透析を効果的に行うためには、食事の管理が不可欠になってきます。透析歴が長い人の食事の回数は、朝・昼・晩しっかりと「3食食べている」人がほとんどです。最も大切であるといわれる朝食を食べないで仕事や学校に行く人も少なくないなか、毎日欠かさず朝食もとっています。長期透析を続けていると、どうしても体力が低下するため、食べる量も自然と減ってくるのは仕方ありません。ただ、ものが食べら...

日本透析医学会理事で川島病院(徳島市)副院長の岡田一義医師によると、終末期の患者らの人工透析の導入を見送ったり、中止したりした経験のある医療機関は、2014年以降で約半数に上るとする調査結果をまとめました。調査の方法については、全国の透析実施医療機関から無作為抽出した1407施設に、昨年12月から今年1月にアンケートを行い、510施設が回答。14年6月〜16年11月に透析の導入見送りや中止の経験が...