透析液に関連した合併症
透析治療を行う場合、飲水として無害な水道水でも、無処理で透析液に用いると、有害な効果が発生する場合があります。副作用や合併症を予防するためには、どのような症状があるのかを把握しておきましょう。
溶血亢進(貧血助長)
水道水の消毒剤として使われているクロラミン・クロリン、硝酸、銅イオンなどによる貧血があるとの報告があります。
硬水症候群
マグネシウムやカルシウム濃度の高い水道水を未処理のまま用いると、神経症候、高血圧を起こす場合があります。
発熱
エンドトキシン、パイロジェンなどにより、低血圧やショック症状を起こすことがあります。
アルミニウム中毒症
透析液にアルミニウムが含まれていると、透析脳症や骨軟化症(アルミニウム骨症)、小球性貧血などの合併症を起こすことがあります。
アルミニウムの濃度が高くなくても、長期間にわたって使用していると発症しやすくなります。
透析脳症
透析膜を通じて移行したアルミニウムは、臓器などに沈着して、脳症を発症します。言語障害に始まり、幻覚や幻聴などの精神症状、記憶障害、意識障害などがあらわれます。
アルミニウム骨症
骨折や骨痛などの症状がでます。無アルミニウム透析液の使用が効果的です。
酢酸不耐症
酢酸透析液を使用した場合、血清酢酸濃度が上昇して、頭痛、低血圧、吐き気・嘔吐などの症状を起こすことがあります。
浸透圧不均衡症候群
血清に比べて透析液の浸透圧が低すぎる場合、透析中に急激な血清浸透圧の低下を起こして、循環血漿量の減少、細胞内溢水、脳浮腫などを引き起こします。
すると、頭痛、腹痛、悪心、嘔吐、血圧低下、けいれんなどの症状があらわれるようになります。
この合併症の予防には、透析液のナトリウム濃度は血清濃度以上のものを使用することが有効です。
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