熟練の透析者はどのような生活を送っている?
毎日3食しっかり食べている
透析を効果的に行うためには、食事の管理が不可欠になってきます。透析歴が長い人の食事の回数は、朝・昼・晩しっかりと「3食食べている」人がほとんどです。最も大切であるといわれる朝食を食べないで仕事や学校に行く人も少なくないなか、毎日欠かさず朝食もとっています。
長期透析を続けていると、どうしても体力が低下するため、食べる量も自然と減ってくるのは仕方ありません。ただ、ものが食べられなくなってくると、赤血球が血液中に占める容積であるヘマトクリット値が下がってきて、貧血状態になりやすくなります。
熟練の透析者は、このヘマトクリット値が下がらないように、カロリー摂取に気をつけて、良質なたんぱく質をとることを心がけています。また、水分や塩分をコントロールしているのはもちろん、カリウムやリンの摂取にも気をつけています。
カリウムやリンまでコントロールできている人はなかなかいませんが、そのおかげで透析することになっても、長く元気でいられるのでしょう。
よく歩いている
透析歴が長い人はよく歩いているという特長があります。散歩をすることで自然と歩くようになっている人もいれば、意識して歩いている人もいます。
買い物に行くときに家族に車で連れて行ってもらわずに、自分で歩いてスーパーまで行く人や、エレベーターを使わずにすべて階段で移動する徹底ぶりです。
透析するようになるとどうしても気分が落ち込んで、外出の機会が減ってに引きこもりがちになります。しかし、外に出なければ足腰が弱くなる一方です。歩いて足腰を鍛えるように心がけることが、元気で長生きできる秘訣であるといえそうです。
意識して運動している
よく歩いているのと同時に、意識してよく運動している人も多いことが挙げられます。どのような運動をしているのかというと、水泳、卓球、バドミントン、ゴルフ、自転車、ハイキングなどです。どれもきつい運動ではなく、自分の趣味を楽しみながら運動をしているといった印象を受けます。
軽めの運動には、ラジオ体操、テレビ体操、庭の手入れ、畑の手伝いなどもあります。女性は家事をすることでも、けっこうな運動量になります。いずれにしても、病気だと思わないで自分で積極的に動く、人に頼りすぎないで自分で何でもやる、という姿勢が元気でいるコツになるでしょう。
透析中は合併症で、身体を動かすことは困難な場合もありますが、20年以上にもなる透析者は、それをはねのけて一生懸命に運動することを心がけています。
ツイート
スポンサードリンク
長生きの透析者ほどよく食べ、よく運動している関連エントリー
- 人工透析の現状と目的
- 現在、腎不全で透析治療を受けている人は、全国に28万人以上います。人工透析の方法は、血液透析と腹膜透析の2つがあります。
- 日本では血液透析が生涯治療
- 血液透析の方法について、その原理を解説しています。透析治療のなかでも、血液透析を受けている人は圧倒的に多くなっています。
- ブラッドアクセスの合併症
- 血液透析によるブラッドアクセスの合併症には、全身性のものと局所性のものに分けられます。とくに、感染症の予防対策が必要となります。
- 身体への負担が少ないCAPD(腹膜透析)
- CAPDとは腹膜透析のことです。透析液の交換の回数がかかりますが、血液透析よりも身体への負担が少ないというメリットがあります。通院も月に1回程度ですみます。
- CAPDの特性と実施可能な体制
- CAPD療法の優れた点と、CAPDを実施するために必要な設備や体制について紹介しています。患者自身が自ら透析を行うため、管理体制が重要となります。
- CAPD治療の患者適応のめやす
- CAPD治療の成果を上げるためには、患者の状態や家族の同意、心理面などのさまざまな事項を評価して決定していかなければなりません。CAPDを行ってはならない症例についても紹介。
- CAPDの合併症
- CAPDに関連する合併症には、腹膜炎、出口部感染、皮下トンネル感染、カテーテル機能不全などがあります。対処法を紹介しています。
- 透析液の組成に関連した合併症
- 透析液の性状や組成に関連した副作用、合併症を紹介しています。透析療法の遂行のためには、合併症の予防が課題となっています。
- 人工透析の合併症・感染症
- 透析患者は、人工透析の合併症や感染症についての知識を持つことも必要です。心不全、脳血管障害、骨の異常にはとくに注意です。
- 在宅透析のメリット・デメリット
- 患者さんが家庭で自分の手によって透析を行う「在宅透析」も普及してきています。在宅透析の長所・短所について紹介しています。
- 透析導入後の水分コントロールについて
- 腎不全で透析に入ると、自分で水分管理をしていく必要があります。病気になる以前はほとんど気にしていなくても、透析導入後は水分コントロールが不可欠です。
- 透析者向けの塩分コントロール法
- 食事の塩分コントロールについて紹介しています。透析をはじめたばかりの人向けに、比較的実践しやすい内容を載せています。
- 透析者がおさえておきたい8つの数値項目
- 透析者は病院から検査データをもらいますが、項目が多すぎて何を見たらよいのかわからないと思います。ここではとくに重要な8つの数値項目を紹介しています。長生きするための指標にしましょう。
- 終末期の人工透析 見送りや中止が広がる
- 腎不全になった患者さんに対して行われる人工透析ですが、高齢者に対しては体に大きな負担もかかるため、透析の実施に迷うケースもあります。終末期の人工透析も、中止や見送りが増えているという結果が出ています。