回復見込みのない終末期の延命治療について考えるときか
日本透析医学会理事で川島病院(徳島市)副院長の岡田一義医師によると、終末期の患者らの人工透析の導入を見送ったり、中止したりした経験のある医療機関は、2014年以降で約半数に上るとする調査結果をまとめました。
調査の方法については、全国の透析実施医療機関から無作為抽出した1407施設に、昨年12月から今年1月にアンケートを行い、510施設が回答。14年6月〜16年11月に透析の導入見送りや中止の経験があると答えた医療機関は240施設(47%)に上りました。
現在では患者の高齢化も進んでおり、体に負担のかかる人工透析の実施に迷うケースも増えてきています。容体が極めて悪い終末期については、回復見込みのない延命治療を、患者が亡くなるまで続けていくのに意義があるのかという議論があります。
あらかじめ本人の意思で「できるだけ延命治療をしてほしい」とはっきりと表明しているのであれば、それに従うことになるので大きな問題にはなりません。
一方で、患者の状態や本人の意思とは無関係に、1日でも延命することが当然であるという考えは議論の余地があります。ベッドで寝たきりの状態になり、意識も保てなくなった状態のままの延命治療は、本人だけでなく家族も苦痛になりえます。発生し続ける医療費の負担も無視できません。
日本では海外に比べて尊厳死や安楽死についての法整備が遅れていますが、そろそろ踏み込んだ議論を進めていくべきという声が各地で起こっています。一方で、宗教的な考えによる影響も根強く、死に対しては「あまり触れたくないもの」として扱われがちです。
ただ、回復見込みのない終末期には、できるだけ安楽死を認めてほしいという意見も多く見られるようになっています。
生きる権利と死ぬ権利、簡単に結論が出る話ではなく、正解というものもありません。
いずれにせよ現在の段階では、健康なときに終末医療の希望をハッキリ伝えることが大事です。
高齢になると認知症が進行して本人の意思の確認がとれなくなることもあるので、日頃から家族や知人などに、自分はどのような終末医療をのぞむのか発言しておくとよいでしょう。
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