慢性腎臓病(CKD)の定義と診断基準

腎臓病をステージ(病期)別に治療する概念

数年前には聞きませんでしたが、最近になって「慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)」という病名をみかけるようになりました。

 

慢性腎臓病は、2002年にアメリカの腎臓財団が提唱した新しい概念です。日本でも、2006年に「日本慢性腎臓病対策協議会」が設立されており、本格的にCKD対策に取り組むようになりました。

 

このようになった理由は、世界中で人工透析や腎移植を必要とする末期腎不全の患者数が増えてきたことがあげられます。

 

日本での透析患者数は28万人を超えており、さらに毎年1万人前後増え続けています。透析の費用も年間1兆円以上といわれており、新たな国民病といっても過言ではありません。

 

さらに、軽度の腎機能障害やたんぱく尿も、心血管疾患の危険因子であることがわかってきました。腎機能は、糖尿病や高血圧といった危険因子と同じか、それ以上に心筋梗塞や心不全などに影響を与えているのです。

 

慢性腎臓病(CKD)の考え方と診断基準

 

CKDという考え方は、腎臓機能の低下がまだ軽度である状態から治療を開始しようとするものです。

 

腎臓を病気別に見るのではなく、腎臓の機能がどのステージ(病期)であるかを見て、そのステージに応じた診療計画を立てていきます。

 

慢性腎臓病の診断基準については、もともとの疾患が何であるかにかかわらず、次の2つの所見のうちのいずれか、または両方が3ヶ月以上続いた場合にCKDとされます。

 

1.尿検査、血液検査、画像診断などで腎障害が明らかである
 (とくにたんぱく尿が出ている)
2.糸球体濾過量(GFR)が60ml/分/1.73u未満である

 

早期発見、早期治療によって、末期腎不全になる患者さんを減らすことが目的となります。

 

 
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慢性腎臓病(CKD)の定義と診断基準関連エントリー

慢性腎臓病のステージ(病期)分類
慢性腎臓病のステージ分類は、腎機能の評価指標である糸球体濾過量(GFR)によって定められています。
慢性腎臓病の症状と経過
慢性腎臓病は、自覚症状に乏しい病気です。進行した症状には、めまい、だるさ、貧血、むくみ、頭痛などがあります。さらに病状が進行すると、最後には末期腎不全に至ります。
慢性腎臓病の検査
慢性腎臓病の早期発見はなかなかむずかしいですが、定期的に尿検査と血液検査を受けることで見つかりやすくなります。最低でも年に1回、リスクがある人は年に2回検査を受けておくと安心です。
慢性腎臓病の治療の2大目標
慢性腎臓病の治療は、末期腎不全と心血管疾患の発症を防いで、進行を抑えることを目的として行われています。具体的な治療には、食事指導や高血圧指導、生活習慣の改善があります。
慢性腎臓病の生活と食事
肥満、喫煙、ストレスなどの生活習慣は、慢性腎臓病の発症に大きく関係しています。とくに食事に関しては、塩分やたんぱく質の制限が必要になります。
慢性腎臓病の薬
慢性腎臓病の治療に使う薬について解説しています。多くの場合、病気の原因となっている高血圧を改善するために降圧薬が使用されます。