腎臓に障害がある女性の妊娠/出産

妊娠と出産は腎臓に大きな負担をかける

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妊娠、出産というものは、女性の臓器や器官をフルに働かせます。しかも、子宮の中で赤ちゃんが育ってくると、赤ちゃんが出す老廃物が胎盤から血液中に排出されるため、それを処理する腎臓はさらに大きな負担がかかってしまいます。

 

腎臓に障害がない健康な女性でも、腎機能が低下して妊娠中毒を起こす場合もあります。そのため、以前までは腎臓に障害を持っている女性は、妊娠・出産は禁止されていました。また、禁止とまではいかない場合でも、慢性腎炎やネフローゼ症候群などの腎臓病をもつ女性は、危険なことになるので避けるように指導されてきました。

 

しかし、医療技術が進歩した現在では、腎臓病の程度や十分な検査の結果によっては、医師の管理のもとで妊娠・出産が可能となっています。

 

腎臓病を患っている女性でも、赤ちゃんがどうしてもほしいという人は、定期的に腎臓の検査を受けて、腎臓専門医や産婦人科の医師と相談しながら計画を立てていきましょう。

 

腎臓病患者の妊娠可能判断基準

 

腎臓病の状態がどのようになっているかは、個々で判断していく必要がありますが、次のような条件であれば妊娠は可能とされます。

  • 原発性糸球体腎炎が安定した状態
  • 腎機能低下が軽度
  • 血圧が正常
  • クレアチニン・クリアランスが70ミリリットル/分を超える

 

妊娠高血圧症候群に注意

 

妊娠後期の8ヶ月頃には、むくみ、たんぱく尿、高血圧などの腎臓病が原因の症状があらわれることがあります。これは「妊娠高血圧症候群」と呼ばれます。以前までは「妊娠中毒症」という病名でした。

 

妊娠高血圧症候群は妊娠した人の約5%に起こりますが、初産の人には2倍超の確率であらわれるようになっています。

 

症状には、めまい、頭痛、たんぱく尿、むくみがあらわれ、重症化すると手足のけいれん、意識障害の発作もみられることがあります。高齢出産の人、肥満の人、腎臓病や高血圧症の人はとくに注意が必要です。

 

妊娠高血圧症候群の治療法は、安静と食事療法が原則です。塩分制限に関しては、あまり過度に行わずに1日7〜8g程度とします。

 

 
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