小児腎臓病の特徴

子どもがかかりやすい腎臓病

子どもの腎臓病(小児腎臓病)は多くの場合、学校の検尿で発見されます。ただし、ほとんどは軽い段階のため、厳しい運動制限や食事制限を行っていく必要はありません。

 

腎臓病で入院する子どもの病気では、腎炎とネフローゼ症候群が多く、全体の約7割を占めています。その他は、続発性腎炎、乳児にやや多い尿路感染症があります。

 

15歳以下の子どもの診察は小児科となります。小児科の腎臓病の専門医を受診するようにしましょう。

 

急性腎炎

 

子どもの急性腎炎は、顔のむくみ、まぶたの腫れ、たんぱく尿・血尿、高血圧などの症状が起こることで気づきます。症状が重なる場合もあったり、軽い症状の場合もあります。

 

カゼや扁桃炎にかかると、その原因である溶連菌感染をきっかけに糸球体に炎症が生じます。溶連菌以外の感染によって急性腎炎が引き起こされることもあります。

 

小児の急性腎炎は、成人のものと比べて治りやすいといわれています。特効薬というものはありませんが、安静にして食事療法を続けると6ヶ月から1年で治ります。ただし、まれに慢性腎炎に進行することがあります。

 

慢性腎炎

 

子どもの慢性腎炎は、血尿やたんぱく尿が1年以上続いて、腎生検で組織を調べた結果、病変が確認されると診断されます。日本ではIgA腎症が多く見られています。治療はステロイドホルモン剤などを使用していきます。

 

小児期特発性ネフローゼ症候群

 

ネフローゼ症候群とは、血液中のたんぱく質が糸球体の血管壁から尿に大量にもれるために、血中のたんぱく質濃度が低下し、コレステロール値が上昇する病気をいいます。

 

成人のネフローゼ症候群とは、発症のしかた、治療過程などでかなり異なっており、治癒率も小児のほうが圧倒的によいとされます。

 

治療では、水分・塩分を制限していき、食事療法が行われます。薬物療法では、ステロイドホルモンの効果が高く、免疫抑制薬を使用する場合もあります。

 

尿路感染症(腎盂炎)

 

尿道や膀胱から大腸菌、緑膿菌などが腎臓の腎盂に侵入して炎症を起こす病気です。乳児期の腎尿路疾患でもっとも多いのが尿路感染症です。

 

発熱、吐き気・嘔吐、ひきつけなどの症状があらわれます。治療は、抗生物質の投与を行い、入院して安静に過ごします。

 

腎不全

 

子どもでも腎臓病が重症化すると腎不全となる場合があり、人工透析か腎移植しか治療法はなくなります。

 

子どもにとって負担の少ない腎移植が望ましいのですが、すぐに移植を受けることが難しい場合は、人工透析を行うしか方法はありません。人工透析の場合、学校でも生活できるようにCAPD(持続外来腹膜透析)が選ばれます。

 

透析液が入ったバッグを交換すれば簡単に透析できるため、学校の昼休みに保健室で透析液の交換をしている子どももいます。透析液は4〜8時間ごとに交換していきます。

 

学校で人工透析をスムーズに行うには、主治医、学校、子どもの保護者が連携して取り組んでいく体制が必要です。

 

 
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