むくみや高脂血症などが出る
ネフローゼは、糸球体に異常が起こって、毛細血管壁の透過性が増大し、本来なら透過させない血液中のたんぱく質をどんどん放出してしまう状態です。症候群の一種でもあり、ネフローゼ症候群ともいいます。
詩人の寺山修司や将棋棋士の村山聖などが発症した腎臓の難病としても知られています。
症状
- 浮腫(むくみ)
- 高度なたんぱく尿
- 低たんぱく血症
- 高コレステロール血症
- 下痢・腹痛
- 食欲不振
重症化すると、咳(せき)や痰(たん)、呼吸困難、腹水、胸水などをまねきます。
ネフローゼ症候群の診断基準
ネフローゼの診断基準は、タンパク尿、低タンパク血症、高脂血症、むくみの4つの症状が基準となっています。次の@とAが必須条件、BとCは参考所見となります。
【必須条件】
@尿中のたんぱく量が1日3.5g以上ある状態がつづく。
A血液中のたんぱく質が減少する低たんぱく血症が起こる(血液中の血清総たんぱく量が6.0g/dl以下)
【参考所見】
B血液中のコレステロールが増加する(血清コレステロール濃度が250mg/dl以上)
Cむくみ
治療
症状や患者さんの状態・年齢に応じて、安静臥床、塩分制限とカロリー制限の食事療法、ステロイド薬を使用する薬物療法などを行います。
むくみに対しては利尿剤、尿たんぱくの抑制のために抗凝固薬を使用することがあります。
ネフローゼの分類
原因となる病気によって、以下のように分類されることがあります。
微小変化型ネフローゼ
リポイド・ネフローゼとも呼ばれ、糸球体に微小な変化が起こるものです。原因についてはまだよく分かっていません。
学齢期前の子どもに多く発症し、年齢が上がるにつれて減少していきます。突然、尿量が減少し、強いむくみがあらわれ、腹痛や吐き気を訴えることがあります。
慢性腎炎のネフローゼ型
慢性腎炎のプロセスのなかで発症しますが、詳しい原因などは不明です。
二次性ネフローゼ症候群
糖尿病性腎症、膠原病(こうげんびょう)、アミロイドーシスなどの全身性の病気が引きがねとなって起こるネフローゼの症状をいいます。近年では、糖尿病が原因で腎機能が低下する糖尿病腎症が増えています。
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