急性腎不全の症状や原因、治療法を紹介

腎臓病のなかでも危険な病気

まず、腎不全というのは病名ではありません。腎不全は、腎臓の機能がほとんど失われて、本来の働きをすることができなくなった状態をあらわしています。

 

腎不全には、このページで解説している急性腎不全と慢性腎不全の2種類があります。

 

急性腎不全とはどんな病気か

 

急性腎不全は、何らかの原因により腎機能が急激に低下する病気です。

 

腎臓の働きが低下すると、血液中にある尿素、尿酸、クレアチニンなどの老廃物がたまるようになり、血液や体液のバランスがとれなくなります。

 

尿量の減少がみられる乏尿性急性腎不全と、それがみられない非乏尿性急性腎不全があります。

 

急性腎不全の原因

 

原因には以下のようなことがあげられます。

 

  • 外傷や手術後の大量出血
  • 大きなやけど
  • 心筋梗塞などによる血液の循環障害
  • 各種薬剤による腎障害
  • 感染症
  • 結石・前立腺肥大による尿路の閉塞 など

 

また、障害された部位によって腎前性、腎性、腎後性に分けられます。

 

腎前性 腎臓に障害はありませんが、循環障害により腎臓に十分な血液が送られなくなったことによって起こります。心筋梗塞、出血や下痢による循環血漿量の減少、敗血症などが原因となります。
腎性 腎臓自体に障害が発生したために起こります。腎臓自身の病気や薬物によるものが原因となります。
腎後性 尿を体外へ排泄するための尿路がつまったために起こります。結石、腫瘍、前立腺肥大症などが原因となります。

 

急性腎不全の治療と予後

 

急性腎不全になると、体内の環境が急激に変化するため、症状も急にあらわれるようになります。頭痛や吐き気にはじまり、意識混濁やけいれんなどの症状があらわれます。

 

原因となっている病気を改善したり、早急に透析療法を受けて、血液中の老廃物や毒素を取り除く必要があります。早期に医師の指導による食事療法を行えば、血液中の尿素やクレアチニン値も低下し、腎機能が回復することもあります。

 

ただし、急性腎不全は腎臓病のなかでも危険な病気であり、予後については、約50%で死亡します。早期発見、早期に治療を開始することが完治の可能性を高めます。

 

 
スポンサードリンク

急性腎不全関連エントリー

急性腎炎
小児に起こりやすい腎炎が急性腎炎です。急性腎炎の原因と症状、治療法などを解説しています。
慢性腎炎
慢性腎炎は腎臓病のなかでも起こりやすい病気です。最近の研究では、いくつかの種類があり、病状が進行しないものがあることが分かっています。
慢性腎不全
慢性腎不全について、原因、症状、治療法などを紹介しています。末期腎不全を経て尿毒症になるため、危険な病気です。
ネフローゼ症候群
ネフローゼ症候群の原因、症状、診断基準などを解説しています。たんぱく尿やむくみなどを主な症状としている病気です。
IgA腎症(アイジーエーじんしょう)
慢性腎炎のなかでもっとも多いIgA腎症の症状や治療法を紹介しています。日本をはじめとするアジア諸国に多いという特徴があります。
糖尿病腎症
糖尿病の増加とともに増えているのが糖尿病腎症です。糖尿病腎症の症状から検査方法、治療法までを紹介しています。
痛風腎
痛風の合併症である痛風腎(つうふうじん)について、症状や治療法を解説しています。激しい痛みを伴うのが特徴です。
腎硬化症
腎硬化症の症状や原因、治療法などを解説しています。良性腎硬化症と悪性腎硬化症に分けられており、症状も異なってきます。
水腎症
水腎症の症状や原因、治療法などを解説しています。子供の水腎症は、先天的な原因のものが多いです。
尿細管間質性腎炎
尿細管間質性腎炎の原因から症状、治療法までを紹介しています。急性のものと慢性のものがあり、症状も違ってきます。
遊走腎(腎下垂)
立ち上がったときに腎臓が下がりすぎる病気が遊走腎です。遊走腎の症状の現れ方や治療法などを解説しています。
腎腫瘍 (腎細胞癌)
腎腫瘍の症状や原因、治療法について解説しています。腎臓に発生する腫瘍の多くは腎細胞がんで、悪性腫瘍となっています。
腎尿路感染症
腎尿路感染症の原因から症状、治療法などを紹介しています。尿路は細菌に感染しやすい器官となっています。
遺伝性腎疾患
腎臓病のなかには、遺伝子と深い関係のある病気があります。アルポート症候群、薄い基底膜症候群、多発性嚢胞腎の症状などを紹介しています。