糖尿病腎症の症状と治療法を解説

糖尿病の3大合併症の一つ

糖尿病腎症は、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害と並んで糖尿病の3大合併症といわれています。

糖尿病の症状

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糖尿病には1型と2型がありますが、単に糖尿病という場合は、体質的な遺伝や生活習慣の影響によって起こる2型を指すことがほとんどです。

 

肥満、過食、運動不足、ストレスなどの条件を備えている人で、血縁者に糖尿病患者がいる人はとくに注意しなければなりません。

 

1型は免疫機構の乱れによってインスリンの分泌が低下したもので、小児や若年層に多い糖尿病です。

 

糖尿病になると以下のような症状があらわれてきます。ただし、初期の頃は症状が出にくいため、定期検診で早期発見することが大切です。

  • のどが渇きやすくなる
  • 水をたくさん飲むようになる
  • 尿の量が増える
  • 疲れやすくなる
  • 体がだるくなる
  • 空腹の状態が続く
  • 目がかすむ
  • 食べてもやせる

 

糖尿病腎症とはどのような病気か

 

糖尿病腎症は、糖尿病による血管の障害が原因で、腎臓の機能が低下していく病気です。生活習慣病の中で、糖尿病の患者の増加とともに増え続けています。血糖値のコントロールに無関心な人も多く、また、人工透析を受ける患者が増加している大きな原因でもあります。

 

糖尿病腎症は、糖尿病が始まると進行が開始されますが、初期の段階では腎臓に症状はあらわれません。

 

しかし、本格的に治療せずに糖尿病が10年ほど続いてしまうと、腎臓の機能がだんだん低下し、持続性のたんぱく尿が出るようになります。さらに症状が進行すると、ネフローゼを経て腎不全にいたります。こうなると、血液透析や腎移植が必要になります。

 

糖尿病腎症の検査方法

 

初期では自覚症状がないため、病気の発見は遅れがちです。発見される状態で多いのは、たんぱく尿と糖尿病が同時に見つかった場合、むくみが出たネフローゼ状態で見つかる、などがあります。

 

しかし、早期発見に有効な方法があります。それが微量アルブミン尿の検査になります。アルブミンはたんぱく質のひとつで、たんぱく尿の約40%含まれています。

 

これは早い段階からあらわれるので、糖尿病の心配がある人は、数ヶ月に一度、微量アルブミン尿の検査を受けておくことをおすすめします。糖尿病腎症の進行は、早期に適切な治療を受けることによってくい止めることができます。

 

糖尿病腎症の治療

 

糖尿病腎症を治すための特効薬というものはありません。血圧コントロール、血糖コントロールを行って、糖尿病の進行を防ぎつつ、糖尿病腎症を併発しないようにつとめることが重要です。

 

治療に関しては、糖尿病の治療と同じように、食事療法、運動療法、薬物療法の3つが中心となります。

 

食事療法では、過剰にならないように、適切なカロリー、たんぱく質、塩分の摂取が必要となります。欧米型の食事中心の方は、和食を中心としたものに切り替えましょう。

 

運動療法では、疲労を残さないように無理なく続けられる運動をしていきます。ただし、糖尿病腎症の病期によっては運動制限が厳しくなります。

 

薬物療法では、降圧薬、経口糖尿病薬、インスリンなどで血圧や血糖のコントロールを行っていきます。

 

 
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