糸球体(しきゅうたい)に炎症が起こる
腎炎には、急性のものと慢性のものがありますが、今回は急性腎炎について説明していきたいと思います。
腎炎とは、糸球体に炎症が起こって、血液中の老廃物や水分を濾過(ろか)する腎臓の機能が低下してしまうという病気です。急性糸球体腎炎とも呼ばれています。
成人よりも、小学校の低学年〜思春期までの小児に起こりやすい腎炎です。高齢の方にはあまりみられません。
原因
細菌感染によるアレルギー性の病気と考えられています。原因となる主な細菌は、溶血性連鎖球菌というものです。ほかには、ブドウ球菌、肺炎菌などがあります。
ただ、直接の要因は菌に対する免疫反応によるものです。免疫複合体と呼ばれる物質が糸球体に沈着することで炎症が起きます。
症状
症状は、たんぱく尿、血尿、乏尿(尿量の減少)、高血圧、頭痛、倦怠感、顔のむくみなどがあります。
とくに、目の周りにむくみがあらわれやすく、病気が進行すると手足にもむくみがみられます。むくみは内臓にまで及ぶことがあり、肺に起こった場合は呼吸困難を発症することもあります。
治療
急性腎炎の治療は、安静にしておくこと、食事療法の2つが基本となります。高度のたんぱく尿、高血圧、肉眼でわかる血尿などが確認できる場合には、入院しなければなりません。
食事に関しては、塩分やカリウム、水分の摂取制限を行いますが、激しい運動以外の運動制限はとくになく、入浴、散歩も可能です。
後遺症も残らず、尿の異常は数ヶ月で治ります。ただ、発症後1年間は尿検査をして経過をみていくことになります。
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