光線力学的療法(PDT) 肺がんの画期的な治療法

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レーザーを照射して治療する方法も

肺の入り口の太い気管支にできた早期がんに対しては、レーザーを照射して治療を行うことがあります。それが光線力学的療法(PDT)です。画期的な肺がんの治療法として注目されるようになりました。

 

従来の方法では、レーザー光線を当てるだけではがんを完全に破壊できなかったり、他の正常な細胞まで傷つけるおそれがあったのですが、がんに集まりやすく、レーザー光線に反応しやすい特殊な物質を新たに使うことでピンポイントで治療ができるようになりました。施行するには諸条件がありますが、メリットも多くあります。

 

PDTのメリットの1つ目は、体への負担が軽くてすむという点です。胸を切らないで(肺を切除しないで)治療が可能なため、患者さんの身体的・心理的な負担がかなり軽くなります。呼吸機能も損なう心配がありません。

 

2つ目は、早期の肺がんならほぼ完治できるという点です。直径1cmまでの早期肺がんならば、完治する割合は9割以上という報告があります。(患者さんの状態によっても治る程度は異なります。)

 

PDTを受けるための条件とは?

 

PDTでもすべての種類の肺がんが治療できるわけではなく、早期の中心型肺がんに限られています。PDTは気管支鏡の挿入ができる範囲内のがんでなければならないのです。他に細かい条件をあげると以下のようなものがあります。

 

  • がんの大きさが1cm以下
  • 正常な組織との境目がはっきりと分かること
  • 肝機能が正常なこと
  • 外科手術が困難であること(呼吸機能が低下している)
  • 非小細胞肺がんであること

 

条件はあるものの、健康保険も1996年から適用されているため、患者さんの経済的な負担も軽く、有効な治療です。

 

なおPDTでの治療後には、強い日焼けに注意が必要です。レーザー照射時に光に反応する物質を注射されますが、太陽の光などの強い紫外線にさらされると、日焼けを起こす場合があります。光線過敏症の検査に通るまでは、病室でもカーテンを閉めて直射日光を防ぐようにします。

 

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治療の進め方

光感受性物質であるフォトフィリンやレザフィリンをあらかじめ投与しておきます。これらの物質は、がん細胞に非常に多く集まる性質があります。次に、弱いエネルギーのレーザー光線を照射していきます。口や鼻などから気管支鏡を挿入してレーザー光線を病巣にあてます。

 

がんを破壊するしくみですが、がんに集まった光感受性物質が光線と光化学反応を起こすことで、活性酸素が発生します。この活性酸素は強い酸化力をもっているため、がん細胞を破壊していくのです。しかも、まわりの正常な細胞へのダメージも少なく抑えることができます。

 

レーザーを照射した後は、約2、3日後、死んだがん細胞を気管支鏡で除去していきます。がんが完全に取り除けるまでは、週単位で除去を繰り返していきます。がんを全て取り除いた後も、数ヶ月おきに気管支鏡で検査をして確認していきます。

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