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もやもや病の診断基準、症状、治療について
もやもや病とはどのような病気か
もやもや病は、1957年に日本で発見された病気で、正式には「ウィリス動脈輪閉塞症」といいます。脳内には、脳細胞に酸素や栄養素を送るための動脈網が形成されていますが、そこにはウィリス動脈輪と呼ばれるリング状の動脈路があります。
このウィリス動脈輪が閉塞したり狭窄したりすることで起こる疾患がもやもや病です。もやもや病という病名は、脳血管撮影像でタバコの煙がもやもやと漂っているように見えることから名づけられるようになりました。
ウィリス動脈輪が閉塞する原因はまだ解明されていないため、原因不明の脳血管疾患とされています。
発症しやすい年齢は、10歳以下の子どもと30〜40代の成人です。
もやもや病の症状
小児型もやもや病
子どもの脳卒中の約4割はもやもや病であると考えられています。それまでは元気だった子どもに突然、一過性の脳虚血発作が誘発され、頭痛、けいれん、手足に力が入らなくなる、しゃべりにくくなる(言語障害)、意識障害、感覚の異常などの症状があらわれます。一過性のため、数分ほどで症状が消えるのが特徴です。
また、子どもが発作を起こしやすい状況になるのは、次のような「過呼吸」になりやすいときです。
- 蕎麦やラーメンをすすったとき
- 熱い食べ物を吹いて冷ましたとき
- 大泣きしたとき
- 全力疾走したとき
- リコーダーやピアニカなどの吹奏楽器を演奏したとき
発作を繰り返していると、子どもの成長期の脳に悪影響を及ぼす場合があるので要注意です。大きな症状がなければ、発見が遅れがちになります。
成人型もやもや病
一方、大人の場合には、脳出血やくも膜下出血による発症が一般的です。症状は出血した部位により異なり、頭痛、吐き気・嘔吐、意識障害、運動障害、言語障害、片マヒ、精神症状などさまざまです。
後遺症が全く残らない場合から、いくつかの後遺症が残る場合まであります。男性よりも女性の方が発症することが多いことも特徴です。
もやもや病の診断
もやもや病が疑われる場合は、核磁気共鳴画像(MRI)、核磁気共鳴血管撮影(MRA)で診断していきます。最近では以上の検査で明らかとなるため、脳血管造影で確定診断することは少なくなりました。
もやもや病の治療
もやもや病は原因不明の疾患のため、根本的治療法はまだ確立されていません。内科的な治療として、抗血小板薬、抗凝固薬、血管拡張薬などを投与して虚血状態を改善していきます。
脳虚血発作に対しては、脳血行再建術でバイパスをつくって血管への負担を軽くする手術が行われます。子どもに対しては外科手術が有効で、症状の改善や知能低下の防止などの効果が明らかになっています。快適な学校生活を送るためには、外科手術で血行を改善させることが必要となります。
大人の場合は、再出血を防ぐ目的で手術が行われます。ただし、現在ではデータが不足しているため、どこまで効果があるのかははっきりとわかっていません。
また、手術の合併症として、まれに脳出血、創部感染、けいれん、発熱、神経症状などがみられることがあります。手術は全身麻酔を行うため、とくに子どもには体への負担も大きくなります。
特定疾患(難病)に指定
もやもや病は、厚生労働省によって特定疾患(難病)に指定されている病気です。そのため、もやもや病と診断された場合は、医療費公的負担制度を利用することができます。
制度を利用するためには、以下の書類を添えて保健所に申請します。(各自治体によって多少の違いがあります。)
- 医師の診断書
- 住民票
- 確定申告書
- 納税証明書
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もやもや病の症状、診断基準、治療関連エントリー
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