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手術中の脳動脈瘤の破裂への対処は?
くも膜下出血(脳動脈瘤)の手術を受ける患者さんが気になることのひとつに、「もし手術中に脳動脈瘤が破裂してしまったらどうなるんだろうか?」という疑問があります。
手術を行うのは経験を十分に積んだ脳神経外科医であり、もちろん脳動脈瘤が破裂しないように細心の注意を払いながら進めていきます。もし脳動脈瘤が破裂してそのまま放っておけば、患者さんは出血のため死亡してしまいます。
しかし、世の中にはどんなに注意していても予期せぬアクシデントが起こり、避けられない場合もあります。そのことも念頭に入れておく必要があります。
まず開頭してのクリッピング手術であれば、事態を修復できる可能性があります。破裂した脳動脈瘤よりも心臓側の血管をクリップで挟んで、脳動脈瘤とそのまわりへの血液の流れをいったん遮断します。
完全に血液の流れを遮断することができれば、破裂した動脈瘤と周囲の血管との関係を丁寧に見極めることが可能です。
しかし、血液を遮断できなければ、医師の視界には大量の血流が入ってきて、脳動脈瘤はおろか何も見えなくなります。通常の人はパニックを起こしそうですが、それでも、決壊を修復しようとしなければ患者さんの命に関わります。
医師は、このような状況の中でも、破裂した箇所の状況を冷静に把握して、破れた脳動脈瘤にクリップをかけなければなりません。顕微鏡をのぞきながら血管を縫合することもあります。
一方、血管内手術を行っていた場合は、脳動脈瘤が破裂してから開頭手術をしていては、修復が間に合わないと考えられます。このように聞くと、開頭してからのクリッピング手術のほうを選ぶ人もいると思いますが、血管内手術もメリットがあるので、どちらがよいかというのは簡単に決めることはできません。
患者さんの症例によって、開頭手術が勧められたり、血管内手術でなければ治療することが難しい場合もあります。治療法の選択については、医師の説明をよく聞き理解して納得し(インフォームド・コンセント)、十分に話し合うことが重要となります。
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