スポンサード リンク
血管内から脳動脈瘤の中にコイルを挿入する手術
動脈瘤塞栓術(コイル塞栓術)は、頭は開かずに、動脈の中に細いカテーテルを送り込んで、コブ(動脈瘤)の中にコイルをつめてふさぐという治療法です。最近おこなわれる例が増え始めた新しい治療法です。
局部麻酔でおこなうことができ、体にかかる負担も軽いため、体力が低下した患者さんにも向いています。全身麻酔の場合でも、治療にかかる時間は約3時間と短くてすむため、負担が少なくなります。
また、血管内からコブに到達するので、脳の奥にあって開頭手術が難しい部位でも治療が可能となるメリットがあります。
コイル塞栓術の治療の流れ
1.カテーテルをコブまで届かせる
カテーテルを血管内に送り込んで、動脈瘤まで届かせます。腕にある上腕動脈を使うこともありますが、一般的には、下肢の大腿動脈からカテーテルを入れることになります。カテーテルを通じて、細いプラチナ製のコイルを送り込んでいきます。
2.コブの中をコイルでふさぐ
コブの中にコイルをつめて、根元をふさいでいきます。コイルがつまったコブには血流が流れ込まないため、じょじょにコブが安定していきます。
コイル塞栓術が向かないケース
コイル塞栓術は、大がかりな手術が必要なく、患者さんの負担も小さい治療法ですが、動脈瘤の形状によっては向かないケースがあります。
- 動脈瘤が小さい
コブが小さすぎる場合には、内部にコイルを入れることができません。塞栓術がおこなえる目安は大きさが3〜4mmで、2mm以下ではおこなえません。
- コブの根元が広い
コブの根元が、コブのもっとも大きい部分よりも広い場合にはおこなうことができません。中につめたコイルがひっかからずに出てきてしまうためです。
- コブから他に血管が出ている
動脈瘤から別の血管が分岐している場合は、コイルでコブをふさいでしまうと、別の血管に血液がいかなくなってしまうので、おこなうことができません。
また、コイル塞栓術はどこの病院でも安全にできるわけではないことに注意が必要です。血管内手術の経験があって技術も優れている医師は、多いというわけではありません。
スポンサード リンク
くも膜下出血の動脈瘤塞栓術(コイル塞栓術)関連エントリー
- 再発と合併症予防が目的
- くも膜下出血は、2度目の発作による再出血がもっとも危険とされています。治療の目的も、再出血を防ぐために行われます。
- くも膜下出血のクリッピング手術
- クリッピング手術は、くも膜下出血の代表的な治療法です。動脈瘤の根元をクリップでつまんで、血流を止めていきます。
- トラッピング法やラッピング法などの治療法
- その他の治療法には、いろいろな方法を組み合わせたり、ラッピング法でコブを包むというものもあります。動脈瘤に対応した治療をおこないます。
- 脳血管れん縮の予防と治療
- 脳血管れん縮は、くも膜下出血の治療をした後に起こる合併症です。手術後2週間は注意しなければなりません。最近では、予防処置を行うケースが増えてきています。
- 水頭症の手術・治療
- くも膜下出血の治療後には、正常圧水頭症が起こることがあります。程度がひどい場合には手術で治療をすることになります。
- 手術中に脳動脈瘤が破裂してしまったらどうなる?
- 手術中に脳動脈瘤が破れてしまったらどうなるのか患者さんは気になると思います。このような場合、医師の経験と技術によって、なんとか血流を遮断することがもとめられます。