尿検査で分かること
健康診断などで必ず行われるのが尿検査です。排出された尿に含まれる老廃物、たんぱく質、血液の成分などを調べることで、腎臓病のチェックや尿路の健康状態を知ることができます。
ここでは、尿検査の中でも各検査項目について、正常値や検査で分かる病気などを解説しています。
なお、各項目の正常値のまとめなどは尿検査での正常値とわかる病気のページに掲載しています。
たんぱく尿
尿中のたんぱく質の量を調べる検査です。健康な人でもわずかな量のたんぱく質が出てきますし、運動をした直後などは一時的に出ることもあります。
しかし腎臓や尿路に異常が起こっていると、持続して多量にもれ出るようになります。
また、たんぱく尿が微量でも血尿がある場合は注意が必要ですし、軽い糸球体腎炎の可能性もあります。専門医の診察を受けましょう。
定性検査と定量検査
たんぱく尿を調べる検査には、定性検査(定性試験)と定量検査(定量試験)の2つがあります。
定性検査は、たんぱく質に反応する試験紙を尿にひたして色の変化を見る方法です。変色しなかった場合は陰性(正常)となります。
一方の定量検査は、1日に排出される尿からたんぱく質の量を調べる方法です。1日にたんぱく質が150mg以上出た場合は、腎臓の機能に異常が疑われます。
尿潜血反応
血尿を調べる検査です。血尿には、目でみて確認できる肉眼的血尿と、顕微鏡で確認できる顕微鏡的血尿があります。尿潜血反応では顕微鏡的血尿について調べていきます。
尿の中に試験紙を入れて、色が変わったら陽性(異常)となり、腎炎や膀胱炎の可能性があります。
なお、肉眼的血尿は、IgA腎症、急性腎炎、腎臓がん、結石などが疑われます。ただし、慢性化している場合はあらわれないことがあるので注意が必要です。
白血球尿
白血球に含まれているエステラーゼ活性を利用して尿中の白血球を調べる検査です。膀胱炎や炎症性の病気がわかります。
尿糖
尿中の糖を調べる検査です。とくに糖尿病の有無を調べるために使われています。血糖値が160〜180mg/dlを超えると、尿中にブドウ糖が出てくるようになり、陽性反応を示します。
ただし、腎性糖尿の場合では、血糖値が高くなくても尿に糖が出ることがあります。
尿沈渣(にょうちんさ)
尿沈渣は、尿を遠心分離器にかけて沈殿成分を調べる検査です。腎盂腎炎やネフローゼ症候群などがわかります。
尿細胞診(尿中組織診)
尿中の細胞を顕微鏡で調べて、がん細胞がないかを調べる検査です。腎臓がん、膀胱がんなどがわかります。
血中尿素窒素
肝臓でつくられる尿素窒素という成分を調べて、腎不全や肝硬変などにかかっていないか調べます。
血清クレアチニン
クレアチニンとは、筋肉由来のクレアチンという物質が変化してできた成分で、血液中を循環しています。
クレアチニン・クリアランス検査とも呼ばれ、健康な人は毎分100mlですが、腎障害が進行すると数値が低下します。
糸球体濾過量(GFR)
慢性腎臓病の病期(ステージ)が糸球体濾過量で表示されるため、近年よく用いられている測定です。より正確に腎機能を調べることができる方法とされています。
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