さまざまな腎機能検査
腎機能の検査には、クレアチニン・クリアランス試験、PSP排泄試験、フィッシュバーグ尿濃縮試験などがあります。
それぞれについて紹介しています。
クレアチニン・クリアランス試験
体に負荷がかからないため、腎機能検査ではもっともよく用いられている方法です。
クレアチニンとは、血液中に含まれている筋肉由来の老廃物で、腎臓でろ過され尿中に排泄されています。
クレアチニン・クリアランス試験は、尿中のクレアチニンの量と血液中のクレアチニンの量を測定して比較することで、腎臓の糸球体のろ過能力をチェックしていきます。
検査の測定法には、1〜2時間の短時間法と24時間法の2種類ありますが、どちらも血液中のクレアチニン値を安定させるために、検査の前にはたんぱく質の摂取量を制限していきます。
PSP排泄試験
尿細管の機能を調べる検査です。PSPとは、「フェノールスルホンフタレイン」という人体に害のない赤い色素のことです。
検査の流れは、まず、排尿後に300〜500mlの水を飲んで、30分後にPSP試薬を静脈に注射します。そして、15分後、30分後、60分後、120分後に採尿して尿中のPSP濃度を調べます。
もっとも重視されるのは15分後の値です。正常値は尿中の色素の割合が25〜50%とされています。25%未満の場合は、腎臓に何らかの障害が発生していると考えられます。
PSP排泄試験については、検査時に薬品を投与するなどの手間がかかるため、実施される頻度は少なくなっています。
フィッシュバーグ尿濃縮試験
腎機能の低下の有無を尿の比重測定から調べる検査です。
検査開始の前日の夕食後から飲食は控えて、翌朝の尿の比重を測ります。起床から1時間おきに3回採尿していきます。
水の比重を1.000とした場合、正常値は1.022以上とされています。
尿の比重が低い場合は、腎臓疾患(腎盂腎炎など)が疑われ、腎不全になると1.010以下となります。
ただし、尿たんぱくや尿糖が出ている人は、尿の比重が高くなってしまうため正確に測定できません。このような場合には、尿浸透圧を調べて尿の濃縮力を調べる方法がとられます。
また、この試験は脱水症状から腎不全を起こす危険もあるため、最近ではほとんど行われていません。
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