腎臓を調べる超音波検査、X線撮影、MRIなど

腎臓の形や内部の様子を知るのに役立つ画像診断

超音波検査(エコー検査)

 

超音波検査は、超音波を内臓に向けて発振させて、戻ってくる反射波を画像にして、臓器などを調べていく検査です。エコー検査とも呼ばれています。

 

超音波を使う検査のため、患者に出血や痛みなどは全くなく、安全に調べることができます。

 

検査の方法は、腎臓があるあたりの皮膚にゼリーを薄く塗って、あおむけに寝た患者にプローブ(エコーを発振する機器)をあてます。腎臓はエコーレベルが高く(白っぽく映る)なります。

 

CTスキャン

 

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コンピュータ断層撮影法を略してCTスキャンといいます。

 

X線カメラを体の周囲でまわして撮影していき、体を輪切りにした状態で映し出されます。

 

腎臓の内部の病状が画面に映し出されるので、病気の進行状況、腫瘍や結石などを調べることができます。

 

X線撮影

 

X線を患部にあてて透過させて、フィルムに感光させて撮影します。腎臓の形や大きさ、尿菅などを調べます。X線撮影は、結石、水腎症、委縮腎などの発見や診断に役立っています。

 

経静脈的腎盂撮影

 

静脈に造影剤を注射して、造影剤が血液を流れて腎臓に入るときに映し出される腎盂・尿菅の映像から、異常があるのかを調べることができます。排泄性腎盂撮影(IP、IVP)とも呼ばれます。

 

検査の方法は、あおむけに寝た状態でX線撮影を行い、次に静脈に造影剤を注射して、5、10、15、30分後にX線撮影を行います。最後は排尿後、立ちあがった状態で撮影します。

 

血尿をともなう腎疾患、腫瘍、結石、腎盂腎炎、腎結核、腎血管性高血圧などの診断に有効です。

 

ただし、造影剤の副作用(アレルギー)として、吐き気、嘔吐、熱感などを訴える場合があります。喘息の方は、呼吸困難などの重い症状がでることもあります。

 

脱水症状が激しい場合、心不全・腎不全を起こしている場合、妊娠時、重度の糖尿病腎症の場合は検査を受けることはできません。

 

腎血管造影

 

血管から造影剤を注入して、腎臓の動脈の状態を調べる検査です。大腿動脈から挿入したカテーテルを用いて、腎動脈から造影剤を注入していきます。

 

この検査も、造影剤にアレルギーのある人、腎機能が著しく低下している人は受けることができません。

 

MRI

 

MRIとは、強い磁気を臓器にあてて、細胞組織の水素原子を振動させて、その動きをコンピュータ処理してモニタに映し出す検査法です。核磁気共鳴画像診断ともいいます。

 

CTスキャンよりも正確で詳細な画像データを得ることができ、X線による放射線の被曝の心配もありません。よって、妊娠前の女性も安心して検査を受けることができます。

 

ただし、体内に金属を埋め込んでいる人には使用することができません。

 

核医学検査

 

核医学検査とは、放射性同位元素(水銀やヨード)を用いて、腎臓の状態を調べる検査です。レノグラフィーとシンチグラフィーの2種類があります。

 

レノグラフィー

ヨードやテクネシウムなどの放射性医薬品を静脈に注射して、腎臓で排泄させる様子を、左右の腎臓で別々に調べます。

 

腎盂腎炎、腎腫瘍、腎梗塞などの診断に効果的です。片方の腎臓のみに病変がある患者さんには、余計な苦痛を与えずに検査が行えます。

 

シンチグラフィー

放射性同位元素を静脈に注射して、体内から体外に向かって放出される放射線の量・強さをシンチカメラで撮影して、腎臓の機能を調べます。

 

腎臓がんと腎嚢胞の区別、腎臓の移植後の血流の変化、腎臓奇形の有無の診断に有効です。

 

 
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