腎生検(バイオプシー)の方法や入院について

直接、腎臓の細胞組織を採取する検査

腎生検(じんせいけん)とは、腎臓に細い針を刺して臓器の細胞組織を採取し、体外に取り出して顕微鏡で観察する検査です。

 

尿検査や血液検査などでも病気についてある程度は判断できますが、急性なのか慢性なのか、なにが病気の原因なのか、どれくらい進行しているのかなどの詳細を調べるために腎臓の組織を採取して観察します。とくに腎炎やネフローゼ症候群の治療方針を決めるためには欠かせない検査となっています。

 

腎生検が行われるとき

  1. たんぱく尿が急に増量(3g/日以上)してきた場合(ネフローゼ症候群)
  2. 0.5g/日以上のたんぱく尿が持続する場合(IgA腎症などの腎炎)
  3. 急性腎不全で原因が不明な場合
  4. 腎炎が疑われるが、急速に腎機能が低下していく場合(急速進行性腎炎)
  5. 糖尿病腎症が疑われる場合
  6. 膠原病が疑われる場合

 

腎生検の方法

 

腎生検には経皮的針生検と開放生検の2種類があります。検査の前には絶食をし、血液検査や超音波検査で腎臓の状態を確認しておきます。

 

検査後は安静が必要となります。その理由は、腎臓は血流が多い臓器なので、へたに動けば穴のあいたところから出血が多くなるためです。安静のために7日間程度は入院します。

 

経皮的針生検

 

うつぶせに寝て、局部麻酔をしたあと、太さ1ミリほどの針を腰の背中側から刺して、腎臓の組織の一部を採取していきます。
局部麻酔をしているのでとくに痛みはありませんが、背中に刺されたような感触がある場合があります。

 

開放生検

 

全身麻酔(または腰椎麻酔)のあとに腰の側面から手術で切開し、腎臓の組織を摘出していく方法です。

 

腎生検についてよくある疑問

 

腎生検について不安をもっている方も多いと思いますが、熟練した技術と経験をもった専門医によって行われており、15〜30分ほどで終わります。近年では医療機器なども進歩したため、全体的に楽になったといえるでしょう。

 

腎生検の費用については約5〜6万円、入院費用なども含めると約8万円ほどかかります。(病院などにより多少の差はあります。)

 

また、患者本人が腎生検に同意しない場合は行うことはできません。医師から検査を受けるように勧められても断ることができます。また、血液凝固に異常がある人、腎臓が片方だけの人、委縮腎の人も行えません。

 

 
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