腎臓病患者のカリウムの制限/食事療法

カリウムの制限と摂取の工夫

腎機能が低下すると高カリウム血症に

 

カリウムは腎臓から排出されるため、腎臓病で腎機能が低下すると、血液中のカリウムの濃度が上昇して高カリウム血症になります。透析者の急死例のなかには、高カリウム血症で不整脈を起こして心肺停止になったものもみられます。

 

このため、腎不全やその他の病気でカリウムの排泄に異常がある場合は、カリウムの摂取を制限していかなければなりません。1日のカリウム摂取量は、2000mg以下がのぞましいとされています。

 

カリウムは、野菜や果物、豆類等に多く含まれます。カリウムが多い食品は次のようなものがあります。

 

カリウムが多い食品

 

穀類 肉まん、とうもろこし(玄穀)、インスタントラーメン、ホットケーキ、スパゲッティ など
いも類 マッシュポテト、フライドポテト、やまといも、さといも、さつまいも、じゃがいも など
魚介類 するめ、干しエビ、ほや、ほたて(貝柱)、うに、たらこ、かつおぶし、あゆ、たい、あじ など
肉類 ビーフジャーキー、ハム、鶏ささみ、豚ひれ肉、サラミ、豚もも肉 など
海藻類 こんぶ(乾)、わかめ(素干し)、ひじき(乾)、あおさ(乾)、味付けのり、あおのり(乾) など
豆類 だいず(乾)、きな粉、あずき(乾)、えんどう豆、納豆、枝豆、おから、豆乳 など
木の実 ピスタチオ、らっかせい、バターピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ、くるみ、くり など
果物 バナナ、メロン、アボガド など
その他 チョコレート、インスタントコーヒー、抹茶、玉露 など

 

食品以外には、体のエネルギー量の不足が長期間続くと、血中カリウム濃度の上昇がみられるようになります。そのため、体重や年齢に見合ったエネルギーの摂取が重要となってきます。

 

調理の工夫でカリウムを減らそう

 

カリウムは水溶性(水に溶けやすい)なので、水煮調理で食品中に含まれる量を減らすことができます。

 

切り刻んで水にさらしておいたり、野菜はゆでておくことで、カリウムの含有量を減らすことができます。

 

ただし、腎臓病の種類によっては、カリウムがかなり減っている人もいるので、制限する必要がない場合もあります。カリウムの制限を行う前には、必ず医師に相談するようにしましょう。

 

 
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