糖尿病性腎症の食事療法について
近年では、糖尿病患者が著しく増加しており、その合併症の1つである糖尿病性腎症を原疾患とする透析患者が大幅に増えています。糖尿病性腎症の治療においては、食事療法がきわめて重要になってきます。
厚生労働省糖尿病調査研究班では、以下の表のように糖尿病性腎症を病期分類しています。
【糖尿病性腎症の病期分類】
注)
@診察にあたっては、糖尿病性腎症早期診断基準を参照
A第2期では正常血圧者でも時に血圧上昇をみとめることがある。また、微量アルブミン尿に対し一部の降圧薬の有効性が報告されている。
B持続性蛋白尿1g/日以上、GFR(Ccr)約60ml/分以下を目安とする。
C透析療法導入に関しては、長期透析療法適応基準を参照(平成2年度糖尿病調査研究報告書、p.252〜256)。
また、日本腎臓学会の「腎疾患の生活指導・食事療法ガイドライン」において、各病期における食事療法も示されています。
【糖尿病性腎症の食事療法】
糖尿病性腎症の食事療法の問題点
糖尿病性腎症患者の食事療法を実施するときには、次のような問題点もあります。栄養の確保や食事療法の実行が困難なケースがあります。
糖尿病性腎症の食事療法の問題点
- 症例により病態の個人差が大きい
- 糖尿病食と腎不全食・透析食の基準の相違
- 高齢者が多い
- 視力障害者が多い
- 糖尿病性神経症を合併する人が多い
- ネフローゼ症候群を合併しているときのたんぱく摂取量
なかでも、視力障害のある患者に対しては、次のような配慮が必要となってきます。
視力障害のある患者の食事配慮
- 親しみやすい献立で素材が明確なもの
- 食べやすい大きさに切ってあげる
- 魚類は骨を除いたもの
- 加工食品をあまり摂取しないようにする
- 食品の形態や色彩の説明を加える
- 煮物や汁物などの献立は避けるようにする
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