腎臓病患者のエネルギー摂取について

エネルギーは十分に摂ることが大切

腎臓病の患者さんは、たんぱく質を含んだ食品を制限することがありますが、それだと糖質や脂質もとらないことになるので、エネルギー不足が心配されます。

 

また、必要な量のたんぱく質をとらないと、血液や筋肉など全身の細胞組織を維持していくことができなくなります。

 

したがって、腎臓病の食事療法では、1日の摂取量を定めて、炭水化物を多く含む食品、たんぱく質を多く含む食品、たんぱく質を含まずに糖質や脂質を多く含む食品、などというように食品を選んで、バランスのよい献立になるように考えていくことが必要になります。

 

1日の摂取食品の例

 

以下は、1日の透析者の栄養構成基準に基づいた、維持期における1日の摂取量(1800kcal たんぱく質60g)の食品構成例です。

 

炭水化物を多く含む食品 米飯330g(茶わん軽く1杯×2) 食パン90g(厚切り1枚) 小麦粉20g(約大さじ3杯) ジャガイモ50g(中1/2個) リンゴ100g(中1/2個)
たんぱく質を多く含む食品 豆腐60g(約1/5個) 鶏肉70g 魚60g 卵50g(中1個) 牛乳90g(1/2瓶)
脂質を多く含む食品 植物脂20g(軽く大さじ2杯) ゴマ2g(小さじ1杯)
ビタミン、ミネラルを多く含む食品 緑黄色野菜80g 淡色野菜100g キノコ(干しシイタケ)2g(小1個) 海藻(焼きノリ)1g(小袋1/2)
調味料 砂糖10g(大さじ1杯) 味噌6g(小さじ1杯)
その他(エネルギーを補充する食品) 粉あめ35g 植物油3g

 

※注意点

 

ご飯やめん類は、たんぱく質が多く含まれているので食べ過ぎに気をつけます。調理の際は油や砂糖を使ってエネルギー不足にならないようにします。

 

ただし、必要なエネルギー量は人それぞれであり、生活習慣によっても異なります。糖尿病などの持病がある人は、医師に相談してエネルギー量を決定していきましょう。

 

 
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