高齢透析患者の食事療法
食事療法に関する問題点
日本では高齢化の影響もあって、透析患者も高齢者の割合が大きくなっています。高齢透析者の増加は今後も続いていくと予想されるので、高齢透析者の食事療法は重要な課題となってきます。
とくに次のような問題点が発生してきます。このような問題点を解決しながら食事療法を進めていかなければなりません。
1.長い間の食習慣の嗜好から抜け出すのが困難
高齢者は今まで生きてきた長期間にわたって、独自の食習慣を持っています。このため、その嗜好からなかなか抜け出すことができません。
2.義歯による咀嚼力の低下、消化・吸収の低下
高齢者は義歯などによって、咀嚼(そしゃく)力が低下しています。また、体力の衰えで消化・吸収力も低下しているので、食事療法も難しくなります。
3.食事療法に対する理解不足
高齢者のなかには、透析食や腎不全食などを知らない人もいます。また、カリウム、リンなどの栄養素については、名前自体を知らない人も多くいるので、これらを制限するために説明をして理解してもらわなければなりません。
4.「食事制限をしてまで長生きしたくない」という心理状態
高齢透析者のなかには、「好きな食事をして残りの人生を生きていきたい」という心理状態になっている人もいます。このような場合は、透析食に対する関心をもってもらって、どうやって摂取していただくかを考える必要があります。
5.周囲の人の協力が不可欠
高齢透析者の食事療法を成功させるためには、家族や介護者などの周囲の人の協力が不可欠となります。高齢者に適した栄養所要量を設定して、良い体調が維持できるようにしなければなりません。
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