腎臓の働きを知っておこう
腎臓といえば、体の中の老廃物を尿として出すだけというイメージがあるかもしれません。
しかし、血液中の水分や体液、栄養成分のバランスを整えたり、血圧の調整、ホルモンの分泌など、体にとってなくてはならない重要な働きがたくさんあります。
その腎臓の働きをひとつひとつ見ていきましょう。
1.老廃物や不要な物質の排泄
血液をろ過して体の中の老廃物を「尿」として排出する働きです。老廃物には、尿素、尿酸、クレアチニン、窒素を含んだものなどがあります。体にとっては有害物質となるので排出しなければなりません。
2.体内の電解質・水分のバランスを調整
電解質とは、塩分やカルシウムなどのイオンになる物質をいいます。電解質の量を調整することで、体内の環境を整えています。腎臓の機能が低下して、電解質のバランスが崩れると、むくみが出てきたり、高血圧や心不全などをまねきます。
また、体内の水分を調整する働きもあります。水分の量が多すぎる場合は、血液中の水分を尿として排泄します。反対に、汗をかいたり下痢などで水分の量が減ったときは、尿がつくられるのを抑えます。
3.血圧の調整
腎臓は、レニンと呼ばれるホルモンを分泌して血圧の調整も行っています。レニンは、血液中のたんぱく質に作用してアンジオテンシン(血圧上昇ホルモン)を作ります。また、プロスタグランジン(血圧降下ホルモン)を分泌して血圧を下げます。
腎臓病になると、レニンの分泌が多くなるので血圧が高くなります。
4.血液を中性に保つ
体液の酸性度(pH:ペーハー)を、ほぼ中性の約7.4に保つ働きがあります。体内のエネルギー代謝などを行うためには中性がベストなのです。
5.ホルモンの分泌
さまざまな造血ホルモンを分泌しています。エリスロポエチンは、造血ホルモンで赤血球の生産を促します。腎臓病が進行すると、エリスロポエチンの分泌が減少して貧血の症状が出てきます。
他にも、カリクレイン、キニン、などの血圧を下げる働きがあるホルモンを分泌しています。
6.不要になったホルモンを分解
ブドウ糖を吸収させる働きがあるインスリンなどのホルモンを分解します。腎不全に陥ると、この働きができなくなるために、糖尿病の治療に必要なインスリンの量が減ります。
7.活性型のビタミンDを生産
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けて、骨に沈着させて丈夫にするために必要なビタミンです。しかし、ビタミンDはそのままでは働いてくれず、腎臓や肝臓で水酸化を受けて「活性型」とならなければなりません。腎臓では、この活性型ビタミンDをつくっています。
したがって、腎臓病が進んで腎臓の機能が低下すると、活性型ビタミンDがつくられなくなるため、骨が弱くなるなどの症状が見られます。あらかじめ活性化されたビタミンDを服用する必要が出てきます。
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