尿の異常を知るポイント
毎日何気なく見ている尿だけに、異常があればいつもと違うなと気づきやすいはずです。ふだんは透明なのに、尿が赤かったり、濁っていたり、色が濃かったり・・・
あるいは、尿の量がいつもと違うこともあります。水分をたくさんとったわけでもないのに、尿の量が多かったり、汗をかいたわけではないのに、量が極端に少なかったり・・・
このような尿の変化はさまざまな原因で起きますが、真っ先に考えられるのはやはり腎臓の異常です。尿は腎臓でつくられているので、製造工場である腎臓になんらかの障害が起きれば、尿にもすぐに異常が現れます。
尿の異常1 色・量・臭い・回数
健康診断では、血液検査とともに尿検査も必ず行われています。それは、尿は体の中でつくられて外に出されるものなので、体内の情報がたくさんつまっているからです。
尿に含まれる成分は尿検査をして調べていきますが、色や量、臭い、回数については、日頃からチェックしておけば自分でも異常がわかります。尿は水分の摂取量や汗の量、気候などによっても変わりますが、同じ条件なのに大きく変化しているようなら注意が必要です。
また、尿の状態は体の活動によっても変わるため、日中の尿は変化しやすくなります。朝いちばんの尿でチェックするのがベストでしょう。就寝中に膀胱にためられているので、膀胱や尿道についての情報も含んでいます。
尿の異常2 血尿
尿に血が混じって赤くなる血尿は、はじめて見たとき誰もが驚くでしょう。血尿はさまざまな病気のサインで、泌尿器系の病気だけでなく、腎臓をはじめ、全身の病気である可能性もあります。尿の異常のなかでもとくに重要なサインといえます。
血尿が現れる病気は、膀胱炎、腎炎、腎臓がんをはじめさまざまあります。「一時的なものだから大丈夫」「血尿以外はとくに異常がない」といって、放っておく人もいますが危険です。
このようなケースがむしろ、がんなどの重篤な病気である可能性も高くなります。一度でも血尿がみられたら、すぐに病院を受診して原因をはっきりさせましょう。
見た目は普通でも透明な血尿に注意!
見た目にはいつもどおりの透明な尿なのに、実は血尿だったということもあります。わずかに赤血球が混じっている場合、見た目にはほとんど変化がないからです。
このような血尿は「潜血」といい、健康診断などで尿を調べるときは、試験紙を用いて潜血反応を調べていきます。確定診断には顕微鏡による検査が必要で、覗いた視野に5個以上の赤血球が見えると、何らかの病気が疑われます。
尿の異常3 蛋白尿
尿に蛋白が混じるのも腎臓病のサインとなります。ただし、少量の蛋白尿は、健康な人も運動後などに現れることがあるので、詳しい検査が必要になります。
激しい運動後や高熱のときに出るものは「生理的蛋白尿」といいます。人によっては、立って動いているだけで蛋白尿が出る体質もあり、これを「体位性蛋白尿」といいます。
血液中の蛋白は、体にとって必要な物質であるため、本来は尿中に排泄されないものです。しかし、腎臓の機能が低下してくると、蛋白が外に出るようになります。尿中の蛋白はいろいろな要因で増えるので、一度の検査で異常と決めることはできません。何度か検査を繰り返して病気かどうか確かめます。
尿の異常4 痛み・失禁
排尿時の痛みや失禁も気になる症状ですが、ほとんどの場合、これは腎臓病が直接の原因となっているものではありません。
痛みは、膀胱や尿管、尿道など、腎臓より先の尿の経路に原因があることが多いです。尿路結石や膀胱炎、尿道炎が痛みの原因です。尿失禁は、出産や老化などにより、排尿にかかわる筋肉や神経が弱くなることが原因です。
いずれにしても、一時的な痛みを放置しておくと、腎臓にも悪影響を及ぼす可能性があります。定期検診を受けて腎臓病がないか早期発見に努めましょう。
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