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脳の病気で最も死亡率が高い

脳の表面はくも膜という薄い膜でおおわれており、脳とくも膜の間(くも膜下腔)には髄液が循環しています。くも膜下出血とは、このくも膜下腔に起こった出血のことです。

 

くも膜下腔には、脳に栄養や酸素を供給するための太い血管が張り巡らされています。この血管から何らかの原因で出血が起こると、脳の表面全体に血液が広がり、脳が圧迫されてしまいます。これが元で呼吸停止や循環停止が起こり、最悪の場合は死に至ります。

 

くも膜下出血の原因のほとんどは、脳動脈にできた動脈瘤の破裂です。動脈瘤がなぜできるのかについては、まだはっきりとしたことは解明されていません。

 

ただし、遺伝・体質的な要因が強く、家族の中にくも膜下出血の患者がいる場合、発生する確率は高くなることが分かっています。年齢や危険因子の積み重なりも動脈瘤の形成に影響していると考えられています。

 

初回の出血が致命的に至らない場合でも、24時間以内に再出血することが多いことも、くも膜下出血の特徴のひとつです。

 

脳の病気の中でも最も死亡率が高い病気です。くも膜下出血には「3分の1ルール」というものがあります。発作が起きた患者の3分の1が死亡し、3分の1に重い後遺症が残り、回復して社会復帰できるのは残りの3分の1といわれています。

 

動脈瘤ができやすい部分

 

動脈瘤は、脳の奥にある太い血管に多くできやすい特徴があります。血流が強い場所や血管が複雑に分岐しているところは、動脈瘤ができやすいとされます。

 

  • 前交通動脈・・・25%〜30%
  • 中大脳動脈・・・10%〜15%
  • 内頸動脈・後交通動脈分岐部・・・25%〜35%

 

動脈瘤が破れるまで

 

動脈瘤が破裂する確率は、コブの大きさが5mm以下では1年間で0.2%というデータがあります。ただし、この大きさを超えるようになると、破裂するリスクはどんどん高くなっていきます。

 

くも膜下出血の危険性は、コブの大きさに比例することを覚えておきましょう。

 

1.脳の血管にコブができます。
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2.コブの大きさが5mmとなると、ひとつの目安となります。5mmを超えると手術を視野に入れるようになり、3〜6ヶ月に一度のペースでコブの大きさの検査をしていきます。
 ↓
3.5mm程度のまま大きさが変わらないようなら、動脈瘤の形、家族歴、血圧などを総合的に検討して治療するかどうかを決定していきます。もし、6mmとなっていた場合は治療を考える時期にさしかかります。
 ↓
4.7mmになると具体的に治療を検討する時期に入ります。
 ↓
5.そのまま放っておいた場合は、コブが破れて出血することになります。命の危険に関わります。

 

働き盛りの若い人も要注意!

 

脳の病気は、中高年以降のお年寄りの病気というイメージを持っている人も多くいます。確かに脳梗塞や脳出血は、中高年や高齢者に発症することが多い病気です。

 

しかし、くも膜下出血は40代の働き盛りでも発症することがある病気です。日本では、1年間に人口10万人あたり約20人が発症しています。また、男女比をみてみると、脳卒中のなかでもくも膜下出血だけは、圧倒的に女性に多いことが明らかになっています。男性の約2倍の発症です。

 

女性に多い理由は、はっきりとは分かっていませんが、脳の血管の形の性差や、ホルモンなどの影響が関係するといわれています。

 

前ぶれ症状に注意

 

くも膜下出血には前ぶれ症状があることもわかっています。発作を起こした患者の約半数がなんらかの前兆を感じています。もっとも多いのが頭痛です。

 

詳しくはくも膜下出血の前ぶれ症状についてのページで紹介しています。

 

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くも膜下出血とはどのような病気か関連エントリー

脳卒中の種類
脳卒中は、脳の血流に何らかの障害が起こって、脳の機能が妨げられる疾患の総称です。脳卒中のタイプは、脳出血・脳梗塞・くも膜下出血の3つに分けることができます。
脳のどの部分から出血するのか
脳出血とくも膜下出血は、同じ出血ですが、発生する部位が違ってきます。くも膜下出血は、脳を覆う「くも膜」の下に出血します。
脳出血の原因は高血圧
脳出血とは、脳内の血管が破れる病気です。その最大の原因となっているのは高血圧です。血圧をコントロールする生活が大切です。
脳出血の前兆と初期症状
脳出血は高血圧と深いかかわりのある病気です。残念ながらはっきりとした前ぶれというものはありません。ただし、疑わしい初期症状はあるので注意しておきましょう。
脳出血の種類と症状
脳出血は、出血する場所によっていくつかの種類に分けられます。出血する部位やその程度により症状も変わってきます。頭痛、嘔吐、意識障害、マヒなどは共通しています。
くも膜下出血の症状
くも膜下出血の症状には、頭痛、嘔吐、意識障害、項部硬直などがあります。命にかかわる危険な症状に要注意です。
くも膜下出血の原因と危険因子
くも膜下出血を引き起こすのは脳の動脈瘤の破裂ですが、そこまでには喫煙や飲酒、高血圧なども大きな影響を与えています。予防のためには原因をしっかりと把握しておきましょう。
くも膜下出血の前兆/前ぶれ
くも膜下出血では、約半数の人が発作を起こす前に激しい頭痛を経験しています。脳に未破裂動脈瘤がある場合、様々な症状が出ることがあります。
くも膜下出血を起こしやすい家系はある?
くも膜下出血を起こしやすい、つまり脳動脈瘤の破裂を起こしやすい家系があるかについては、はっきりとした関係性はわかっていません。しかし、発症率は少し高い傾向があることは分かっています。
くも膜下出血は何をしているときに起こりやすいか
脳動脈瘤の破裂は、活動中や血圧が上がる行為で起こりやすいことがわかっています。たとえば、スポーツをしているとき、排便排尿時、性行為中などの場合です。
脳卒中の発作が起こったときの対処
身近な人が脳出血などの発作が起こったときの対処法を簡単に解説しています。救急車を呼ぶまでの応急手当てを理解し、患者さんを安静に保つように努めましょう。
救急車を呼ぶときは早めに
脳出血やくも膜下出血と思われる発作が起こったら、早く救急車を呼ぶようにしましょう。そのときは慌てずに行動し、医師に状況を詳しく説明できるようにしましょう。
脳出血、くも膜下出血は再発する?
がんと同じように、脳出血、くも膜下出血とも再発の危険性があります。再発が起こると、マヒなどで全身にダメージが及ぶ可能性があります。