高額療養費制度の便利なしくみを知っておこう
高額療養費制度には、「世帯合算」と「多数該当」の2つのしくみが用意されています。どちらもうまく利用することで、かなりの医療費を抑えることができます。ひんぱんに利用する機会はないので忘れがちですが、覚えておくとよいでしょう。
世帯合算 自己負担額は世帯で合算できる
1人では1ヶ月の医療費の自己負担限度額を超えなくても、家族でまとめた医療費が一定額を超えれば、高額療養費制度の「世帯合算」の申請ができます。
また、1人が複数の医療機関を受診したり、同じ医療機関で入院と外来の受診をした場合も、自己負担額は世帯で合算することができます。その合算した額が自己負担限度額を超えた場合、超えた額が払い戻されます。
ただし、70歳未満の人は、1ヶ月の医療費の自己負担額が21000円以上であることが合算できる条件です。70歳以上の人は自己負担額をすべて合算できます。
多数該当 年間3回以上高額療養費の支給を受けると、4回目以降はさらに限度額が引き下げられる
多数該当とは、対象診療月を含めた過去1年間(直近12ヶ月)に、3回以上高額療養費の支給を受けていると、4回目以降の自己負担限度額がさらに引き下げられるしくみです。
たとえば、2017年6月分の場合、2016年7月から2017年5月の間に3回高額療養費の支給に該当していれば、6月分は「多数該当」になります。
なお、多数該当は同一保険者での療養に適用されます。国民健康保険から協会けんぽに加入した場合や、退職して被保険者から被扶養者に変わった場合などは、多数該当の月数に通算できません。
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「世帯合算」「多数該当」 高額療養費制度のしくみを賢く利用しよう関連エントリー
- 1ヶ月の医療費が高額になったら高額療養費制度を利用しよう
- ケガや病気などで、1ヶ月の医療費が高額になってしまうこともあるでしょう。泣く泣く数十万円も支払う必要はありません。高額療養費制度を利用することで、数万円以内に抑えることも可能です。
- 限度額適用認定証を保険証と一緒に提出すると医療費軽減
- 入院などで医療費が高額になりそうなときは、医療保険から「限度額適用認定証」の交付を受けておくと、支払いが自己負担限度額までになります。詳しくは加入している医療保険に問い合わせてください。
- かかりつけ医の紹介状をもらうと「選定療養費」がかからない!
- 総合病院や大学病院での受診は、原則としてかかりつけ医からの紹介状が必要になります。紹介状がなくても診てもらえはしますが、自費で「選定療養費」が請求されることになります。
- 診療時間外・深夜・休日の診療代は割増しになる
- 病院の夜間・早朝・休日の受診や調剤は、料金が割増しになってしまいます。緊急を要する場合は仕方ありませんが、昼間に行けるようであれば、なるべく行ったほうが安くすみます。
- 旅行に行くときも健康保険証は肌身離さずに!
- どこに行くときも健康保険証は常に携行しておくようにしましょう。もし保険証なしで病院を受診したら、3割負担が10割負担となってしまいます。
- 医療費の合計が1年間10万円を超えたら控除を受けよう
- 確定申告ではさまざまな控除を受けることができますが、1年間に10万円以上の医療費がかかった場合、医療費控除の対象となります。ただし、医療費控除の対象とはならないものもあるので注意しましょう。
- 医療費をクレジットカード払いにしたほうがいい理由
- 最近では大学病院などでクレジットカードで支払いができるところが増えています。医療費を窓口で現金払いしている人がまだまだ多いですが、リスクを考えるとクレジットカード払いにしたほうが安全です。ポイントが貯まるというメリットもあります。
- 病院の領収書や調剤薬局のレシートを保管しておく
- 医療費控除の申告には領収書やレシートなどが必要になります。ゴミだからといって捨ててしまうと、損をしてしまうので注意しましょう。保管する場所をしっかり決めておくとよいでしょう。
- 差額ベッド代の費用を抑えよう
- 入院したときに個室を利用すれば差額ベッド代が発生します。相部屋よりプライバシーが保たれていて、個人用の収納設備もあるので、療養には適しています。ただし、自分には必要が無いと思えば、費用を節約するためにも、あえて利用しなくてよいでしょう。
- 病院に行かなければ医療費もかからない!
- 微熱や軽い風邪でも、日本人は病院に足を運ぶ傾向があります。症状が重ければ受診は仕方ありませんが、毎回風邪のたびに病院にかかるのは、医療費のムダになります。自宅でゆっくり休むことで治ります。
- 安易な救急車の利用は控えよう
- 救急車は本当に必要な患者が利用しなければなりません。病院までのタクシー代わりに気軽に利用したりするのはやめましょう。患者本人にとっても医療費と時間のムダです。
- ムダな保険料はカット!医療保険の見直しをしよう
- 病気やケガなどに備えての医療保険ですが、毎月の保険料が高額になっている方も多いのではないでしょうか。加入している医療保険や特約などを見直して節約しましょう。
- 人工透析、血友病、HIVの治療は月1万〜2万円ですむ
- 高額な医療費がかかる場合には高額療養費制度がありますが、それでも病気によっては莫大な医療費がかかります。国が指定している特定疾病(高額長期疾病)に該当すれば、自己負担額が月1万円程度になります。