人工透析、血友病、HIVの治療は月1万〜2万円ですむ

特定疾病(高額長期疾病)とは?

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腎臓の機能が低下して、回復の見込みがない慢性腎不全になると、透析を受けて体内の老廃物や水分を人工的に除去しなければなりません。人工透析にかかる医療費は、外来血液透析では約40万円、腹膜透析(CAPD)では30〜50万円程度が必要といわれています。

 

このような高額な医療費の負担を軽くするために、健康保険の加入者は高額療養費制度が利用できます。ただし、高額療養費の多数該当が適用されても、70歳未満で一般的な収入の人の自己負担限度額は月4万4400円で、ずっと続けなければならない透析にかかる患者の負担は相当なものになります。

 

そこで、「長期間に渡り高額な医療費が必要となる疾病で、厚生労働大臣が指定する特定疾病」の対象となれば、原則的に月1万円の自己負担で治療が受けられます。

 

特定疾病に該当する疾病は次の3つです。

  • 人工腎臓を実施している慢性腎不全
  • 血友病(血漿分画製剤を投与している先天性血液凝固因子障害)
  • 抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群(HIV感染を含む)

 

なお、70歳未満で月収53万円以上の人は自己負担額が増えますが、それでも月2万円なので療養期間が長引いてもかなりの負担を抑えることができます。

 

上記の疾病に該当する場合は、市区町村の保険年金課で手続きを行いましょう。印鑑や被保険者証、特定疾病療養に関する医師の意見書などが必要になります。

 

他の病気も特定疾病の対象にしてほしいという声も

現在、高額長期疾病(特定疾病)の対象となっているのは、上にあるように慢性腎不全、血友病、HIVの3つです。しかし、この3つの病気以外にも、長期間に渡って高額な治療費を払い続けなければならない病気はたくさんあります。

 

たとえば、慢性骨髄性白血病(CML)、消化管間質腫瘍(GIST)、関節リウマチなどは、高額な薬を飲み続けなければならないため、自己負担額を引き下げてほしいという声が上がっています。

 

特定疾病を適用するためには、税金や健康保険料なども必要になってくるので、すぐに話が進むわけではありません。しかし、医療技術の進歩によって事情も刻々と変わってきているので、指定難病による医療費助成制度にように、対象となる疾患も増えるかもしれません。

 

 
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